ニッケイ新聞 2013年2月12日
豪華クルーズ船に乗っていた30歳の男性が9日、サンパウロ州サントス沖の海に落下して行方不明となっている。11日付伯字紙が報じている。
9日、午後6時30分頃、サントス港を出港しようとしていたMSCファンタジア号の船体左側にあった11階の客室から、建築士のルシアーノ・デ・ルッカさんが約40メートル下の海に落ちた。事故当時、ルッカさんは恋人を含む3人の友人と共にいたが、友人たちに事故はなかった。
ルッカさんの捜索はすぐに始められ、救命浮き輪を投げた後に救命ボートも出動させたが、11日現在、ルッカさんの安否は確認されていない。MSCファンタジア号は海軍と連邦警察による事情聴取のあと、10日午前0時20分にサントス港を経ち、ブジオス(リオ州)〜サルバドール(バイーア州)〜イーリャ・グランデ(リオ州)を回る航海の途についたが、ルッカさんの友人たちは船を降りた。
MSCファンタジア号は全長333・3メートル、重さ13万7900トンの国内最大級の豪華客船で、テレビCMでも頻繁に見かけられるほど有名だ。いわば、昨今のブラジルでのクルーズ・ブームの代表的な存在でもあるが、この船では昨年12月にも52歳の男性が9階から7階に転落死する事故が起きていた。
ルッカさんの捜索は引き続き行われているが、現在は捜索の範囲を深海にまで広げている。船体などの技術的な問題の有無に関する調査は海軍が行い、連邦警察は今後このような事件が起こる可能性について調査を行っている。また、企業や乗務員にこの事故への責任があるか否かの判断は90日以内になされる。