ニッケイ新聞 2013年2月15日
燃料輸入の増加などで2012年度の純益が前年比36%減少し、過去8年で最低の211億8500万レアルで終わったペトロブラスが、製油所の建設工事中断などで窮地から抜け出せず、自給自足への歩みはますます遠のいていると14日付伯字紙が報じた。
岩塩層下の油田発見などで、石油とその派生品は自給自足となり、石油輸出国の仲間入りとも言われたブラジルだが、実際には、国内需要の自給さえままならぬまま、輸入依存度を高めている。
ペトロブラスの減収を招いた要因の一つは国内需要の増加が著しい燃料や潤滑油部門で、輸出262億ドルに対し輸入353億ドルで90億ドルの赤字。12年のガソリン輸入は前年比82%増の30億ドルで、11月の6億4千万リットルなど大量輸入を継続中だ。燃料輸入が定着したのは2005年からで、2011年1月は1千リットルだったガソリン輸入が12年1月には3億1450万リットルなど、急増ぶりも目に付く。
派生品の輸入トップは依然としてディーゼル油で、油田発見や採掘開始などで期待された原油の生産やその精製量が予定通り増えない事も同公社の競争力をそいでいる。
原油の場合、輸出が204億ドルで輸入が134億ドルだから、70億ドルの黒字だが、原油の生産が増えても精製能力が増えなければ、派生品の輸入に歯止めがかからず、同公社の会計を圧迫する状態が続く。
ペトロブラスの大幅減収は、連邦政府による価格統制や為替不均衡、国内の燃料需要の増加に伴う輸入増加などが原因だが、国内の製油所12カ所は稼働率98%のフル操業で、ペルナンブコ州アブレウ・エ・リマ製油所やリオ州の総合製油施設Comperjなどが完成しない限り、精製能力向上は望めない。
ところが、2011年11月に完成、1日23万バレルを精製するはずだったアブレウ・エ・リマは2014年11月、2013年完成で1日33万バレルを精製するはずのComperjも、第一段階が2014年、第二段階は2018年と完成が遅れている。
アブレウ・エ・リマは雨と作業員の確保が困難な事、40%を出資するベネズエラの石油公社の参入の遅れが日程を狂わせ、建設費も、当初予算の23億ドルが現在までに171億ドル投入と大幅に増額。Comperjは土地接収の問題に雨とストが加わり、工事が難航。8日から始まったストが、12年4〜5月のように長期化すれば、更に工事が遅れる。
また、1日60万バレル精製のマラニョン州プレミウム1や同30万バレル精製のセアラ州プレミウム2は、14年から少なくとも一部稼動の予定が2017年以降稼動開始に変更されている。
専門家の中には、製油所増設で派生品供給が国内需要を満たしても、連邦政府が価格を管理し、原油採掘50%、ガソリン精製10%というマージンを固持する限り、同公社の窮状は変わらないとの見方も出ている。