ニッケイ新聞 2013年2月16日
1月30日からバス焼き討ちなどが頻発しているサンタカタリーナ州では15日未明までに暴力事件が100件を超え、14日には、州都フロリアノポリスとその周辺のバスの運転手達がバスの運行を7〜19時に制限する事を決めたと15日付伯字紙が報じた。
サンタカタリーナ州では、1月30日以来、バスの焼き討ちや公的機関への火炎瓶投げ込みなどが続き、市民の間に不安や恐怖心が蔓延。14日には、フロリアノポリスとその周辺を走るバスの運転手や車掌達が、バス運行は7〜19時のみとする事を決めた。
運転手や車掌達が総会を開いたのは14日午前中で、公共交通機関で働く労働者が治安に不安を感じている事を州政府に知らせるため、フロリアノポリスのバス運行を11時15分から12時半まで停止したほか、フロリアノポリス市とその周辺のバスの運行時間短縮が決議された。
バスの運行時間短縮は15日から、14日は20時までは通常通り、それ以降は警察の警護付で23時までの運行が保たれたが、昼間の運行停止時にターミナルやバス停に人が溢れた。また、15日の公立校の夜間授業は中止された。
同州での暴力事件は海岸部を中心に30市で起きており、その件数も、15日未明までで100件に上っている。
一連の事件は、カタリネンセ第一グループ(PGC)と呼ばれる組織が同州の刑務所で犯罪者を手荒に扱った事への報復として起こしたとされ、2月3日には最初の犠牲者も出た。一方、フロリアノポリスでは、8日からのバス運行を6〜23時に制限し、治安上の問題が指摘されていた丘陵地などへのバス警護に20台の車両を配備。警護車両を20台増やす事も約束されていた。
全事件中、バスを狙ったものは37件で、バス通学の子供をバスに乗る必要のない祖母の家に転居させた親なども出てきているが、フロリアノポリス市長や州政府が安全確保を約束したにもかかわらず起きたバス運行時間の短縮という一方的な決定に、当局は当惑。自家用車を持たない人への対応も未解決だ。
暴力事件が最も頻繁に起きているジョインビーレのバス運行は平常通り行われているが、2番目に被害が大きいフロリアノポリスでの決定がどのような影響を及ぼすかに今後も注意が必要だ。
6日には法務大臣と州知事が話し合い、刑務所の中から指示を出していた可能性のある犯罪者ら20人を国が管理する刑務所に移送する事や、要請次第、軍や連邦警察、連邦道路警察を派遣する事などの合意を確認したが、治安問題の専門家からは、州政府などの対応が遅れたために犯罪組織が州民に恐怖心を植えつける事に成功したとか、各行政機関の間で一致した行動が取れていないといった批判も出ている。