ニッケイ新聞 2013年2月16日
ブラジリアの高等労働裁判所前で14日、多国籍企業のシェル・ブラジル(現在はライゼン)とBasfの元従業員が60本の白い十字架を林立させ、工場で使った化学物質が原因で死亡した仲間を偲びつつ抗議行動を行ったと14日付G1サイトなどが報じた。
サンパウロ州内陸部パウリニアにあった工場で働いていた従業員は1970年代から約30年発がん性物質にさらされ、800人以上が癌や白血球減少、急性膵炎などに罹患し、大半は今も闘病中だ。
カンピーナス化学統一労組では60人が化学物質が原因の病気で死んだと判断。和議のための公聴会が行われた14日には60本の十字架を立てて仲間の死を偲び、かつ抗議行動を行った。
シェルとBasfは5200万レアルの賠償金支払いを申し出たが、労組側は「賠償金も結構だが、闘病中の仲間の治療継続の方がもっと大切」と返答。会社側は、土地除染作業と共に元従業員や地域住民の保健支援なども含めた支援を行うとの文書を発表したが、詳細が不明なため、公聴会は19日も継続。2月中に合意が成立しない場合は最高裁で扱われる。