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自然災害警報センターCEMADEN=初代所長に日系二世就任=オグラ・アゴスチーニョさん=富山、茨城で防災学ぶ

ニッケイ新聞 2013年2月19日

 2011年のリオ州であった大洪水など、近年異常気象による大規模災害が増加するなか、防災研究の司令塔として、ジルマ大統領の肝いりで11年末に設立された国家自然災害モニタリング警報センター(CEMADEN)の初代所長に昨年末、日系二世の地質学者オグラ・アゴスチーニョ・タダシさん(55、リオ州ニテロイ市)が就任した。

 専攻は土木工学。USP卒業後、IPT(サンパウロ州技術研究所)で石油開発の研究に携わった。
 リオ州含め80年代に多発した地滑り災害に接し、「全く備えが出来ていない」と防災事情に危機感を覚え、茨城県つくば市の研究施設(86年)富山県庁砂防課(89年)で、日本の災害対策を学んだ。
 帰国後はIPTに戻り、ハザードマップ作りなど研究を続けてきた。防災研究者の数が絶対的に不足するなか、貴重な存在として注目され、設立以来空席だった所長職に昨年末就任した。
 106人の職員が所属し、24時間体制で災害のモニタリングを行う同センターに求められるのは、豪雨などの異常気象の発生をいち早く察知し、地域住民に警報を流すシステムの構築だ。
 また、防災意識の育成を目的に、学校やファベーラなどに、目算で危険性を判断できる雨量計を設置するプロジェクトを計画。すでにサンパウロ市を中心に複数のコミュニティや施設への取り付けが決まった。「500カ所の設置を目標。そこから得られる情報を研究にも役立てたい」と話す。
 喫緊の問題として語られる集中豪雨などの都市型災害の対策は容易ではない。「かつては20年に一度に起きるレベルの災害が、近年は毎年のこと。国として体制を変えていかなければ。まさに今がその時」と意気込みは十分だ。