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多動性障害の薬使用急増=成績狙いで医者だます?
ニッケイ新聞 2013年2月20日
6〜16歳の子供向けの注意欠陥・多動性障害の治療薬使用量が、2009〜11年の間に75%増えたと18日付エスタード紙が報じた。
注意欠陥・多動性障害とは、他動性、不注意、衝動性といった症状を特徴とする発達障害の一つで、ポ語ではTDAH、英語ではADHDという略号が使われる。治療には塩酸メチルフェニデートと呼ばれる薬が使われるが、09年から11年の子供向けの治療薬販売量が75%も増えたという。16〜59歳を対象とした薬の販売は27・4%増だから、子供向けの薬の使用量は異常な伸び方といえる。
子供向けのメチルフェニデート販売量は、休暇中は減り、後期には増えるという傾向があり、11年の場合、1千人当たりの薬販売量は、前期19・7箱、後期26・6箱と大きな差があった。
薬の販売量増加は医師の診断能力の向上が原因とする専門家もいるが、メチルフェニデートは知性薬とか服従薬とも呼ばれ、集中力を高めれば成績が上がるとか、多動性を抑えれば子供の行動をコントロールしやすくなると考えた人々が、TDAHのふりをして処方箋を出してもらう例もあると懸念する医師もいる。
メチルフェニデート使用者には胃痛や頭痛、血圧向上、発達障害、食欲減退、心臓欠陥障害、うつなどの副作用が出る可能性がある上、乱用すれば、正常な脳の機能を損なうため、記憶力低下などの弊害も招くという。
TDAHの患者でも集中力欠如や不注意だけが症状として出ている例は見逃され、治療が遅れがちだが、過活動の場合も年齢と共に他動性が減少するため、子供だけの問題と思われがち。現実には衝動性や集中力欠如が残る大人も多いという。