ニッケイ新聞 2013年2月21日
ブラジリア日本語モデル校の三分一校長は、生徒数が増えるほど留意すべき点として、「休んだ分の遅れを取り戻すサポート」を挙げた。同校は初級クラスでも「1学期に3回休めばついていけなくなる」ほど。
そのため事務局と密な連携体制をとり、事務局が欠席の連絡を受け、授業の内容を補えるプリントを渡すなどの作業を教師に代わって行っている。
一般的にどこでも教師の給与の低さが取りざたされるが、同校では週3回の授業につき1サラリオと教師の待遇も良い。月謝は高めの260レアル以上なのに加え、三分一校長が「一人一人の心を集める意味ですごくいい制度」と勧める賛助会員制度が良好な経済状況を支えている。
賛助会員数は約80人で、会員特典として昼食会とふれあいバザーを実施するほか、年に6回会報も送り、「教師が日本食を作ってもてなす昼食会はとても喜ばれる。これが楽しみで会員になってくれる人もいる」
バザーは出店者が賛助会員になることが条件で、売り上げの一部は学校に還元される。三分一校長は「確実にお金が集まる制度を考えることが大事」と語った。
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パラー州ベレン市にある越知日伯学園は、日語学校を併設したブラジル教程の幼稚園・小学校で、生徒数約450人と全伯最大規模を誇る。うち7割は非日系。越知校長は経営の根本として、「学校は一つの企業。『現代社会に必要とされているか』『多くの人に役に立つ企業か』を考えることが大切」と語り、様々な媒体を使った宣伝の重要性を述べた。
「共働きが増えている今の社会が求めるのは、両親が一日安心して子どもを預けられる場所」とし、しつけと教育を兼ね備えた1日コース(朝7時半〜午後6時半)を設け、午前までは教科学習、午後は宿題と音楽、空手、道徳、YOSAKOIソーランなど日本文化を取り入れた情操教育に、日・英・スペイン語の語学教育を行っている。
早期外国語教育は学園の柱の一つ。「4〜5歳で文法体系が出来あがる」との考えから、幼稚園から外国語を教え異文化教育にも力を入れる。多言語・文化を学ぶことで視野が広がるなど人格形成にプラスになるだけではなく、他教科の成績も上がるという。
「親日家が増えれば、いずれは政治・経済の交流に発展していく」と、年に2度は子どもの父兄や地域の住民を招待し、日本文化を紹介する「日伯文化交流祭」を開催。こうした活動も、学園の担う一つの重要な役割と話した。
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「生徒との信頼関係」を最も重視するパラナ州のクリチーバ日本語学校の大山多恵子校長は、「生徒数70人に対し、教師数9人という少人数制を活かし、臨機応変な対応を心がけている」という。教師は月2回の勉強会で学習内容の共通理解を図り、クラスの問題点を共に話し合う。
授業数は1コマ2時間で週2回、もしくは土曜日の3時間授業のいずれか。授業料は月235レアルだが、様々な割引制度が利用できる。近年は、留学や研修を目指す生徒が増えているという。
移住後間もなく日本語教師を始め、仕事に尽力してきた人生を振り返り、「家では〃愚母悪妻〃ですが、力のある限り日本語教師を続けたい」と締めくくった。
4人の講演後、閉講式が行われた。板垣理事長、谷広海元理事長の挨拶後、受講者を代表しアンドレ・ドミンゴス・ノアレスさんが表彰状を受け取り、梅津あや子さんが謝辞を述べた。
河内ローザさん(42、二世)は「4人ともバラエティに富んだ話だった」と話し、知久ローザさん(45、二世)も「宣伝の大切さや、赤字を乗り越えてきた学校のことを知れてよかった」と満足顔を見せていた。(終り、児島阿佐美記者)