ニッケイ新聞 2013年2月21日
二世の女性と結婚した戦後移民は多い。もちろん夫婦の会話は日本語なのだが、奥さんの母語はポ語。もちろん子育てはポ語で行うわけだから、自然と子供の日本語は弱くなる。学校が始まれば、それは加速し、仕事に明け暮れているパパイが家庭内で言葉の孤島に取り残されるという話を聞く▼日本語の流暢さに驚き、家族構成を聞くと、母親が日本人という場合が多い。祖父母がいる家庭ではまた違うし、日本語を強いる親とすれ違うパターンもあるが、コロニアの日本語を支えるのはやはり母親なのだなあ、と今さらながら実感した。本紙7面で掲載した連載記事『ベテラン校長らが語る 日語校経営の〃秘訣〃』である▼デカセギで生徒数が激減すれば、それを逆手に「少人数制の徹底指導」をウリにし、演奏旅行のできる和太鼓をダシにする。非日系を対象に生徒の関心に応じたカリキュラムを組む。同時に教師の待遇も考慮する。まさに会社経営者さながらの取り組みぶりなのだ。親日家が増えることが両国の発展に繋がる—と親も巻き込んだ日本文化交流イベントを実施する例には感動さえ覚えた▼もちろん一朝一夕にできあがったものではない。それぞれの地域でやり方が違うように、長年その土地に住んだ先生たちが試行錯誤してきたものだ。もちろん彼女らはやり手であり、好例だからこそ登場したわけだが、青色吐息の教師、学校の方が多いのだろう。そういった意味で、今回の試みは大変意義のあるものだっただけに、将来、それぞれのケースに合った日語校の運営ノウハウを伝えるようなシステムができないだろうか、とも思わされた。(剛)