ニッケイ新聞 2013年2月22日
保健省が11年に統一医療保険システム(SUS)で治療を受けた事故や暴行事件の被害者4万7500人のデータを分析した結果、事故や事件の被害者の側にも酒の影響がある例が多い事が判明したと20日付伯字紙が報じた。
飲酒後の人物が事故や事件を起こすだけでなく、被害者にも酒が関係していたというのは意外だが、交通事故の負傷者の5人に1人は酒を飲んでおり、暴行事件被害者の49%も飲んだ後だったという。
保健省が集計した4万7500人は連邦直轄区と各州都のSUSの病院で治療を受けた人で、ケガの原因は、転倒30・9%、交通事故26・2%、暴行や虐待8・4%、物や人と衝突6・5%となっている。
酒の影響があったケースの割合はケガをした理由によって異なり、暴行被害では49%、転倒以外の不注意による事故でのケガでは36・5%、交通事故で21・2%、転倒の場合11・1%、火傷の場合4・3%、その他の事故では5・7%となっている。
交通事故の場合、運転中の事故でケガをした人の22・3%が事故の数時間前に酒を飲んだと証言または酔っている事がはた目にも明らかだったという。同乗していて事故に遭い、病院に運ばれた人では17・7%、路上を歩いていて事故に巻き込まれた人でも21・4%が事故の前に酒を飲んでいたという。運転手や歩行者が酒の影響で反応が遅れ、事故を回避できなくなった事が考えられ、被害者の半数以上は20〜39歳だった。
暴行被害者の49%が飲酒後だったというのも驚きで、酔っ払いと見て狙われたとか、酔った勢いでケンカとなったといった例も考えられる。暴行された男性の54%は飲酒後で、女性被害者で飲酒後だった人が31・5%だったのと顕著な違いが見られる。
転倒以外の自己責任の事故による負傷者には自殺未遂も含まれるが、この場合の飲酒の影響は36・5%で、酒で判断力が落ちたまま、衝動的な行動を起こしたりする例が考えられる。
飲酒後の事故や事件での負傷者はケガの程度も重く、酒を飲んでなかった負傷者は78・3%が治療後すぐに帰宅したのに対し、飲酒後の負傷だがすぐ帰宅の例は66・2%。入院を必要とした人の割合も、非飲酒者の14・8%に対し、飲酒者は24・9%で高い。
飲酒運転禁止法厳格化が、事故や死者減少と共に保健省の経費削減にも繋がる事を裏付ける統計といえる。