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20年前の戦いを再現か?=大統領選にFHC参画=ルーラの根回しに対抗し=得をするのはPMDB

ニッケイ新聞 2013年2月26日

 【既報関連】14年大統領選でのジウマ氏再選のためにルーラ前大統領が与党内調整に奔走する中、民主社会党(PSDB)のフェルナンド・エンリッケ・カルドーゾ元大統領(FHC)の選挙参謀的な役割復帰が確実になり、ジウマ対アエシオ・ネーヴェスという構図の裏で、20年前の大統領選再現と23、24日付伯字紙が報じた。

 労働者党(PT)が政権10周年を祝うに当たり、FHC政権とPT政権を数字で比較し、PTの優位性を示そうとした後、何かにつけ表舞台に出てくるルーラ前大統領に対抗し、FHCがアエシオ上議を全面的に後押しする事になった。
 20日開催の政権10周年の記念式典を前に、自分達の政権の成果を強調した比較を行ったPTに対し、FHCは、PTの態度や政権10周年を祝う事自体が「子供じみている」と批判。アエシオ上議も上院で「PT政権で弱体化した13点」というリストに基づくPT批判演説を行った。
 PTとPSDBの論戦は、ペルナンブーコ州知事でブラジル社会党(PSB)党首のエドゥアルド・カンポス氏が「古い喧嘩」と一喝したが、14年大統領選に向けた動きは更に加速中だ。
 22日はエンリッケ・エドゥアルド・アウヴェス下院議長(民主運動党・PMDB)が、前大統領は同党のミシェル・テメル氏の副大統領続投の線で調整中と発言。
 これに対し、FHCは「ルーラは大統領補佐官になった」と言ってPTの動きをけん制。先のリストに対しても、FHC政権時の経済成長は、世界平均はおろかラ米の平均をも上回っていたが、ジウマ政権の経済成長率は逆に、ラ米や世界経済の成長率に遅れをとっていると批判した。
 FHCが「レアル・プランの父」と呼ばれ、経済成長やインフレ抑制に大きく貢献した事は世界的に認められており、FHC政権のペドロ・マラン元財相の70歳の誕生日には、米国の元財務長官やイスラエル中銀総裁らも集まったほどだ。
 アエシオ上議は5月の党大会でPSDB党首に選ばれた後、ミナス州以外の地域での知名度を挙げる活動に入るが、それを助ける方策の一つがFHCを選挙対策の中軸に据える事。PTが経済対策をジウマ、与党内の調整をルーラで分担するのと同様、FHCの知名度を活かしたセミナーなどの全国活動を展開し、党首としてのアエシオ氏の知名度を高める事に繋ぎたいのがPSDBだ。
 アエシオ氏が20日に行なった上院での演説は野党側の思いを一つにしたともいわれるが、カンポス氏は23日、アエシオ氏が熱し易い事をやんわりと指摘した後、PTはレアル・プランがインフレ抑制に果たした役割を忘れていると批判。大統領選が本格化するのは来年だが、経済成長が頭打ちの今、ブラジルの経済安定と加速化の基礎を作ったFHC参画にPTはどう対抗するのだろうか。