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ジル・ルガイ事件=有罪で33年9カ月の判決=投票接戦で上告まで自由に=目撃証言の確かさに疑問

ニッケイ新聞 2013年2月26日

 2004年に父親と継母を殺害した疑いで裁判となっていたジル・ルガイ被告が22日夕方、陪審投票4—4で有罪となり、懲役33年9カ月の判決が下った。だが、上告が全て終わるまで懲役刑は執行されないことになっている。23日付伯字紙が報じている。
 04年3月28日午後9時30分頃、サンパウロ市西部ペルジゼスでルイス・カルロス・ルガイさん(40)とアレッサンドラ・トロイチーノさん(33)が殺害され、ルイスさんの長男でアレッサンドラさんの義理の息子である、当時大学生だったジル被告が殺人の容疑者としてあがった。
 検察によると、ジル被告は事件の5日前、ルイスさんの会社の小切手を不正使用していたと詰め寄られて口論となった。事件当夜は、台所にいたアレッサンドラさんに5発発射、TVのある部屋の扉を閉めて身を守ろうとした父親にも、扉を蹴破ってから4発撃ち込んで殺した後、会社の事務所に戻って銃を捨て、友人に電話をかけたという。銃は1年後、アパートの管理人が水槽の中からビニール袋に包まれた状態で発見した。
 事件の公判はサンパウロ市西部バラ・フンダの裁判所で19日からはじまり、アレッサンドラさんの遺族が原告側、ルイスさんの遺族が被告側についた。この公判で原告側は、ルイスさんが生前から被告の扱いに困っていると周囲に漏らしていたことなどを根拠に話を進め、被告の不正使い込みの発覚が殺害の動機であるという説を主張。
 被告側は、「銃声を聞いて警察に通報した」という証言者の通報時間が午後10時13分で、その3分前に被告が事務所から女友達に電話をしたことが確認されているから矛盾していると反論。また、被告がルイスさん宅を出るのを目撃したという警備員の証言も、「当初は〃誰もいなかった〃と証言していた」し「警備員の言う位置からは被告が出て行ったのは見えない」から、確証性が低いと主張した。また、金の不正使用については「ルイスさんの会社では別の社員も金を扱っており、その社員が殺した可能性がある」との反論を行った。
 5日間続いた公判の末の陪審投票は4—3で有罪となり、33年9カ月の実刑判決が下った。弁護側は上告の予定で人身保護令の適用を申請。最高裁が同保護令の適用を認めたため、上告が全て終了するまで自由の身で過ごせることになった。
 被告弁護士のマルセロ・フェレール氏は「当初、7—0の劣勢が予想されていたところが4—3までになった」と公判の結果に満足した。
 一方、検察のロジェリオ・ザガロ判事は「被告は二重人格で非常に危険な人物なのに」と、人身保護令適用との判決結果に不満を漏らした。