ニッケイ新聞 2013年2月27日
2013年の経済成長目標は4%台だが、1月の雇用創出は、同月としては国際的な金融危機が表面化して以来最低の2万8900人で、政府関係者に懸念が生じていると23日付エスタード紙が報じた。6大都市の失業率も1月としては最低でも前月比0・8%ポイント増の5・4%など、安定した経済成長には時間がかかりそうだ。
1月の雇用創出が、国際的な金融危機勃発後の2009年1月の10万1800人を84%下回る2万8900人に止まり、政府の経済関係コンサルタントの間に懸念を生じさせている。
採用者数から解雇者数を引いた雇用創出数は景気動向を図る指標で、経済が悪化した時に最後に変化するものの一つだ。それだけに、経済活動が2年続きで縮小した後の13年経済も弱含みで推移するかと思わせる数字は、2014年は目に見える成長を遂げるまでに回復との大統領発言にも水を差しかねない。
労働省関係者は、全就労・失業者台帳(Caged)の集計結果がマイナスになってないだけましとしているが、1月は10万人程度、年間では170万人の雇用創出との事前予想は出足からつまづいた形となった。
雇用創出の伸びを妨げたのは、商業関係で6万7500人、農業でも622人の雇用減が生じた事。また、昨年1月の8万5600人が1万4800人にと昨年同月比で82%減となったサービス業も影響大だ。
クリスマス商戦後の1月は商業界の雇用が例年減るが、今年の数字は過去20年の最低。国内消費は国際的な金融危機後の経済を支えた主役で、小売業は経済成長率2・7%の2011年も6・7%、1%前後と見られる昨年も8・4%成長したが、大量解雇は避けられなかった。
一方、昨年1月の4万2800を若干上回る雇用増を記録したのは、工業の4万3400人。工業製品税(IPI)引上げ前の駆け込み需要を受けた増産の結果といえるが、ダンボール生産の増加などがそのまま継続して経済回復促進をと望む関係者は多い。
一方、6大都市の1月の失業率は、昨年1月の5・5%とほぼ同じ5・4%で1月としては最低と26日付各紙サイトが報じている。失業者は130万人で前月比17・2%増だが、昨年同月比は横ばい。カーニバルの観光客や海岸の客相手の仕事も失業率上昇を抑えている。就業者は2310万人で前月比1・2%減だが、昨年同月比では2・8%増。正規雇用は1160万人で前月と同じだが、昨年同月比では4・1%増加した。
昨年同月比で失業率上昇はサンパウロ市とベロ・オリゾンテ市、サルバドール市とリオ市は失業率が低下した。労働者の平均給与は1820レアルで12月と同水準だが、昨年同月比では2・4%向上したが、経済成長と大統領支持率は連動して動く傾向があり、2年連続の経済成長率縮小にもかかわらず、高支持率を維持してきたジウマ大統領が、選挙年まで高支持を維持できるか否かは今年の経済成長次第との見方が広まっている。