ニッケイ新聞 2013年2月27日
コリンチャンス応援団ガヴィオンエス・ダ・フィエルのメンバーが、ボリビアでのコリンチャンス対サンホセ戦で信号弾を発射し、相手チームファンで14歳のケヴィン・ドウグラス・ベルトラン・エスパーダ君を死亡させた事件で、「自分が信号弾を発射した」と17歳の少年が名乗り出、サンパウロ州グアルーリョス市の少年裁判所に出頭した。26日付け伯字紙が報じている。
事件は20日、ボリビアのへスス・ベルムデス・スタジアムで行われたリベルタドーレス杯の試合で起き、ボリビア警察はガヴィオンエスのメンバー12人を逮捕、2人を主犯、10人を共犯として起訴していた。
だが、その後、17歳の少年が自分が真犯人だと名乗り出、25日、グアルーリョスにある少年裁判所で2時間半に渡る供述を行った。帽子を目深にかぶりサングラスをかけた少年は、午後5時30分頃、多くの群衆が群がり「人殺し」との罵声も飛ぶ中、弁護士の車に乗り込み、裁判所を後にした。
少年の弁護を担当するガヴィオンエスの弁護士リカルド・カブラル氏によると、少年はサンパウロ市中央部3月25日通りで1本20レアルの信号弾を6本購入し、カバンに入れてガヴィオンエスのバスでボリビアまで行ったという。少年がボリビア遠征に加わったことは保護者のサインで確認されていたが、信号弾の存在には誰も気が付いていなかったという。
カブラル氏は現在ボリビアで身柄を拘束されているメンバー12人の釈放を求めているが、ボリビアのオルロ県検察局のアビゲイル・サバ検察官は「少年がどうやってボリビアを出国したのかなど、オルロで明確にされるべき疑問点がいくつかある」とし、少年が既に逮捕されている12人を救出するための「おとり」に使われているのではないかと疑った。これと同様の疑いは、サンパウロ州検察局も抱いている。
カブラル氏は、この少年がボリビアのテレビに映された信号弾を発射した人物と同一人物であることは間違いなく、おとりではないと主張。少年の写真とガヴィオンエスのメンバー証を既にボリビアのブラジル大使館宛てに送付したという。また、ボリビア警察が押収したスタジアムに放置されていた信号弾入りのカバンは、少年が怖くなって捨てたものだという。
サバ検察官は、拘束中の12人は少年を連れてきたし、少年の出国を助けたのだから共犯とした上、少年のオルロ出頭も求めているが、ブラジルの法律では、少年が自分の意志でボリビアまで出向いての処罰を希望しない限りはブラジルでの刑に服すことになる。なお、17歳という年齢はボリビアでは成人扱いとなる。