ニッケイ新聞 2013年2月27日
南大河州サンタマリアのナイトクラブの大火災から1カ月となるが、同事件では通算1万2千年分の命を損失と24日付エスタード紙が報じた。
同事件の死者は239人に及んでおり、わずか数分で燃え広がった火と煙が、犠牲者が生きていたはずの命1万2412年分を奪ったという。ポルト・アレグレの病院には26日現在も入院患者が24人おり、内3人は今も人工呼吸器を必要としているという。
犠牲者の多くは連邦大学学生などの若者で、学部や大学院で研究にいそしんでいた優秀な学生を失った意味は大きい。南大河州の主要産物である大豆の品種改良の研究をしていたブルーノ・クラウリッチさん(28)の場合、彼と同じレベルの知識や技術を持つ人物が育ち、残りの研究を続けられるようになるには3〜4年かかるという。彼の研究を助けていたマリアナ・モレイラ・マセドさん(19)も同火災で死亡し、研究は実質振り出しに戻っている。
学術的な損失は新しい人材や時間によって埋め合わせる事が出来るかもしれないが、家族や友人を失った心の痛みは時間が経っても決して消えない。「失われた命の価値は計り知れない」との指導教官の言葉が重たい。