ニッケイ新聞 2013年2月27日
FHC政権の平均経済成長率は2・2%、ルーラ政権は4%、ジウマは今のところ2%以下でFHCを批判できる実績はない。今年こそと気張りたいところ。そこで気がかりなのは「インフレ対策」との兼ね合いだ▼経済成長を優先にするなら基本金利(Selic)をできるだけ低く抑えて、投資を集中したい。数年来、失業率を下げ、最低賃金を上げて市場の購買力を高めた一方、食品を中心に物価上昇圧力が高まっている。しばらく下がり基調だった政策金利を上げ、「成長よりインフレ抑止」との姿勢を示すかどうかの大きな節目に差し掛かっている▼この1月までの1年間のインフレ率は6%を超えたとの統計がある。しかも最後の3カ月間の食品価格上昇はこの10年間で最大とか。これは庶民生活を直撃する▼経済拡大路線を重視するジウマ政権は、来年の大統領選挙までにFHCを凌駕する実績を残したい。つまり、政治的には政策金利は上げたくない、中銀も無視できないはず。そう金融政策を先読みする企業家は「インフレ抑止は後回し」と考え、すでに商品価格に上乗せを始めているとの記事もある▼つまり「インフレ抑止政策をとらない」との先読みが、さらなる価格上昇を呼び込む悪循環が始まっているとの指摘だ。経済安定期でも物価が上がり続けるのは当地の〃体質〃だ。中銀の今年のインフレ予測は4・5%だが信じるものは少ない▼先日の商工会議所主催の部会長シンポでは「15年まで継続的な成長が期待されています」との希望的観測も出されていたが、業種や地域により大きく状況が異なる、注意が必要な時期に入っている。(深)