ニッケイ新聞 2013年3月2日
地理統計院(IBGE)が1日、2012年の国内総生産(GDP)の成長率は0・9%だったと発表と同日付各紙サイトが報じた。政府が目標とした年間4%の成長には遠く及ばぬ数字で、第4四半期の前期比0・6%成長という結果が回復の兆しといえるかも今後次第という。
2011年の年末にギド・マンテガ財相が発表した12年の成長目標は4%だったが、IBGEが発表した成長率は11年の2・7%さえ下回る0・9%に終わった。
12年の経済成長率に関しては21日付伯字紙が1・6%の予想と報じていたが、最終的には中銀の予想通りの1%前後の線で、国際的な金融危機勃発後の2009年のマイナス0・3%に次ぐ低成長となった。
昨年の状況を部門別に見ると、成長したのは公共支出3%始め、家庭消費2・7%、サービス業1・7%が目立ち、縮小した方では、09〜10年の景気回復を支えた工業の0・8%、コモディティ価格の低下や干ばつなどで泣いた農牧業2・3%、投資4%などが目につく。世界的な景気回復の遅れで、輸出や輸入も0・5%と0・2%の成長に止まった。
国内消費が景気を下支えする構図は08年の国際的な金融危機勃発後と同様だ。工業や農業が振るわず、家庭消費も前年比で減速傾向を見た中、サービス業は、情報産業の2・9%や、経営、保健、教育などで業績が伸び、GDPの68・5%を占めるに至った。
2010年は7・5%成長し、一度は完全に回復したかに見えたブラジル経済の減速化は、欧州経済危機の余波。先進諸国の経済は、米国2・2%、日本や韓国も1・9%と2・2%成長したのに対し、欧州は、ドイツやフランスが0・7%、0・1%の成長に止まり、スペインやイタリア、ポルトガルは1・4%、2・2%、3・2%のマイナス成長となっている。
一方、新興国は、7・8%成長した中国始め、ロシア3・4%、インド5%、南アフリカ2・5%と報告され、ブラジルはBRICSの中で最低。中南米でも、6・3%成長で気を吐くペルーや米国との交易中心に3・9%成長したメキシコの後塵を拝した。
12年半ばにブラジルの成長は1・5%と予想した会社に「冗談もほどほどに」と言ったマンテガ財相は、0・9%成長という結果に「世界経済が低迷すればブラジル経済も落ち込む」と弁明。12年中の景気刺激策は徐々に効果が出ており、第4四半期のGDPが前期比0・6%成長したのは景気回復の兆しとした上で、減税なども続く13年は、投資や消費の促進で3〜4%の成長が可能との見方を表明した。
ただ、専門家は、経済の先行きが不透明である事が12年の投資が世界平均を下回るGDPの18・1%に減少した事を懸念。生産性や国際的な競争力の向上を図らなければ、ブラジル経済の恒常的な回復はありえない。