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メンサロン=「ブラジルの刑法制度は甘い」=バルボーザ長官が激白=7月1日までに刑執行望む

ニッケイ新聞 2013年3月2日

 連邦最高裁(STF)のジョアキン・バルボーザ長官が2月28日、メンサロン事件の被告の刑執行は7月1日までに行う意向を表明した。また、同長官はブラジルの刑罰のシステムを「甘い」と批判した。1日付伯字紙が報じている。
 バルボーザ長官は28日、メンサロン事件の被告25人に対し、「7月1日までには全受刑者への刑の執行を公布したい」と語った。
 刑の執行は上告裁判が終了してからになるが、バルボーザ長官は、「各判事が有罪か無罪かを投じたときに無罪票が4票だった罪状についての再審は行わない」との見解も明らかにしている。
 メンサロン事件の公判は昨年の12月17日で結審したが、4カ月以上かかった長期裁判では報告者と校正役の判事の論争なども起きたため、各判事の投票内容と速記記録を文面化して見直すのに時間がかかり、判決文の公布が遅れている。
 5人の判事は投票内容と速記記録の見直しを終えており、4月1日には判決文が交付される見込みで、上告はその後に始まる。有罪とされた25人のうち、メンサロン計画の仕掛け人との判決を受けた労働者党(PT)のジョゼ・ジルセウ被告をはじめ、15人が上告すると見られている。
 バルボーザ氏は、通常は判決文公布から5日以内の上告期間の延長要請など、刑の執行を少しでも遅らせようとする動きがあることを認めつつ、上告裁判が終わったら民事、刑事を問わず刑を執行すると明言した。
 またバルボーザ氏は、国外の取材陣に「わが国の刑罰のシステムは非常に甘く、被告や犯罪に対しきわめて寛容だ」と発言、「最高裁が10年や12年という実刑判決を言い渡しても、2年とか2年強しか刑務所にいないという例が多々ある」と語った。
 同長官は「ブラジルの刑の適用の仕方はわかりにくく、システムを悪用して自分の刑期を少しでも短くしようとする者もいる。これは非常にはずべきことなのだが、残念なことに為政者たちは問題視していない」と言う。同じメンサロン事件主犯でも、元官房長官のジルセウ被告の刑期は10年10カ月なのに、企業家のマルコス・ヴァレーリオ被告の刑期は40年以上となっている。
 バルボーザ長官の発言に、被告弁護士たちは不満を示した。ヴァレーリオ被告のマルセロ・レオナルド弁護士は「判決文も公布されてないのになぜそんなことを」と不快感を示し、元下院議長のジョアン・パウロ・クーニャ被告のアルベルト・ザカリアス・トロン弁護士は「有名人の心配事には困ったもんだ」と同裁判で社会的知名度をあげた同長官を皮肉った。