ニッケイ新聞 2013年3月5日
14年大統領選出馬が噂されるブラジル社会党(PSB)のエドゥアルド・カンポス党首と、ジウマ大統領やルーラ前大統領の労働者党(PT)政権との関係が危うくなりつつある。2〜4日付伯字紙が報じている。
12年の全国市長選挙で最も市長数を増やした注目の党の党首を巡り、労働者党(PT)政権は一時、カンポス氏を副大統領に迎えて14年大統領選を戦う作戦もたてていたが、ここに来て、PTがPSBをけん制する動きが強まっている。
1日、カンポス氏はペルナンブーコ州レシフェで、この日発表された国内総生産(GDP)の12年成長が0・9%に終わったことに触れながら、「経済的に難しい状況にあるときに、どうしてPTは1年半も先の大統領選に奔走するのか」と批判した。
カンポス氏は、かつて他党からの大統領出馬経験のあるシロ・ゴメス氏と同氏の弟でセアラー州知事のシジ・ゴメス氏から2月下旬に「大統領出馬は時期尚早」と批判されつつも、頑なに大統領選について語るのを拒んでいる。1日も「PSBは独自の時計で動いている」と語り、今の段階でPTを敵に回してまで大統領選出馬を公言するのを避けた。
これに対し、PTはカンポス氏を挑発するような行為に出た。ルーラ前大統領は1日、セアラー州フォルタレーザで行われたPT党首脳会談で、PSBについて「連立関係を壊したいなら壊せばいい」と発言。その後も「ここまで非常にうまく行っていた同盟関係をPTとPSBが危険にさらすことが国政にとっていいことかどうか、評価する必要がある」とし、両党が微妙な関係にあることを示唆したのだ。
これに追い討ちをかけるように2日、ジウマ大統領は民主運動党(PMDB)の党大会に自ら出席し、テメル副大統領を褒め称え「PMDBとPTはこれからもずっと長い関係を築いていく」と宣言した。これにより、一時はカンポス氏に譲るのではと噂された副大統領候補の座が、14年選挙でもテメル氏のものであることを匂わせた。
こうした表でのかけひきの裏で、ジウマ氏とカンポス氏は14年大統領選に向けて着々と動いている。その一つは、労働組合との関係強化で、ジウマ氏は先週、PTの支持基盤である最大労組の中央労組(CUT)や労組3位の労働者連合(UGT)代表と会った上、両労組の会合や大会へも参加の予定だ。これはルーラ氏の助言を受けてのものとさている。
一方、カンポス氏も労組2位のフォルサ・シンジカルや同4位のブラジル中央労組(CTB)との関係成立に動きはじめた。フォルサの会長は民主労働党(PDT)のパウリーニョサンパウロ州下議で、同氏は、カンポス氏は「ジウマと違って人の話を聞こうとする」と好感触を持っているという。