ニッケイ新聞 2013年3月6日
癌闘病中のベネズエラのウゴ・チャベス大統領の容態が悪化したと5日付伯字紙が報じている。
4日夜、ベネズエラのエルネスト・ヴィジュガス情報相はテレビやラジオを通じ、チャベス大統領が新たに深刻な感染症を患ったと発表した。同大統領は12年12月に癌治療のためキューバのハバナに渡って治療を受けていたが、約2カ月音信がなく、2月15日に入院中の2枚の写真が公開されただけ。2月18日に緊急帰国後も病院に直行し、先日から肉体的負担の強い化学療法を受けている。
ヴィジェガス通信相は大統領の病状について、「免疫力低下で新たな感染症を起こし、呼吸機能が悪化している」とし、国民には「地に足をつけ、大統領の敵たちとの心の戦いに負けない」よう呼びかけた。
癌治療で入院以来、政府から詳しい容態発表が行われないことで、民主連合会議(MUD)を中心とした野党側の反発は強まっている。MUDなどの推薦で12年10月の大統領選を戦ったミランダ州知事のエンリケ・カプリレス氏や首都カラカスのアントニオ・レデズマ市長らの反対派は、チャベス氏の容態を明らかにするように訴え続けている。2月27日にはカラカスで学生たちによるデモも起きた。
反対派は1月10日の大統領就任式へのチャベス氏の参加が危ぶまれた際、ニコラス・マドゥーロ副大統領の代行は不当と訴え、90日間の暫定不在宣言を求めたが、最高裁が大統領不在のままの就任とマドゥーロ氏の代行を認めていた。
仮に大統領が死亡した場合、30日以内に新大統領の選挙を行うことが法律で義務付けられている。反チャベス派の動きが徐々に強まっている中、2月28日にはMUDのリーダー格のレオポルド・ロペス氏が汚職疑惑で起訴されるなど、政府側の報復と見られる動きも起きはじめている。