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商議所部会長シンポ=(下)=伸び率マイナス、冷え込む貿易=化学、食品は例外的に好調

ニッケイ新聞 2013年3月7日

シンポは5時間にも渡って行われた

 【貿易部会=伊吹洋二部会長】12年の輸出については、一次産品、半製品、工業製品などの主要商品の多くで伸び率がマイナスとなり、景気の冷え込みが目立つ結果となった。
 貿易は194億ドルの黒字ではあるものの、2002年の黒字額131億ドル以来10年ぶりの低水準に留まった。
 輸出入額ともに過去最高を記録し、貿易収支が298億ドルの黒字だった2011年から一転した結果となった。
 継続するアルゼンチンの輸入規制など、2013年も厳しい展開が予想されるが、伊吹部会長は「好材料は少なくみえるが、半期ごとの数字を見れば好転するきざしも見て取れる。今でも当地が世界において最も有効な投資先の一つであることは間違いない」と締めくくった。

 【運輸・サービス部会=森田透部会長】航空業界では国内線でAZUL、TRIP、AVIANCAなどのLCC(格安航空会社)がシェアを11%から25%にまで伸ばし、勢力を拡大している。旅客数全体は5年間で80%の大幅増を見せたが、今後は横ばい状態が続く見通しという。
 海運業界については、コンテナ船の輸入出数量はそれぞれ数%ずつの微増。今後も堅調な伸びとみられる。サントス港に新設ターミナルが2013年下期の開業を目指し建造中であり、混雑解消が期待される。

 【建設不動産部会=三上悟部会長】昨年は日系企業の進出増加により、ゼネコン系は平均して20%の受注増を見せた。この流れは今年になっても続き、同程度の受注を予測するものの、それに見合う労働者、技術者の不足が問題。建設の活況度を示すセメントの使用量も堅調な伸びを見せているだけに、人材の確保は急務となっている。

 【化学品部会=藤下温雄部会長】部会に所属する22社からのアンケート25回答(1社に複数の業種をもつ企業があるため)から昨年の回顧、今年の展望について報告された。
 25回答のうち、12年の売り上げが前年より減少したと回答したのは四つのみ。特に、11社が属する工業材料分野では、減少は一つのみで、増加が六つ、不変が三つという好結果を見せた。その要因として、レアル安により輸入品の流入減で国内二次産業が活性化したことが挙げられた。
 13年の展望についても、11社すべてが増加を予測し、他業種の多くも楽観的な見方であることが示された。

 【食品部会=天野一郎部会長】天野部会長は12年の回顧として、部会各社により程度の差異はあるものの、GDP成長率が頭打ち傾向であるにも関わらず、国内消費市場は好調であったことを報告した。
 輸入規制のあおりを受けた外食や、震災の影響を受け、日本からの製品への規制が厳しくなった11年からの特需が終了した醤油などは売り上げを減らしたものの、「堅調な一般消費に支えられた」という乳酸飲料や調味料製造はともに10%弱の増加を見せた。
 13年の展望としては国内消費は昨年に引き続き活発であることが予想されるものの、資源価格の下落、設備投資の鈍化が雇用に悪影響を与えることが懸念される。