ニッケイ新聞 2013年3月8日
中央銀行の通貨政策委員会(Copom)が6日、経済基本金利(Selic)を年7・25%で据え置く事を全会一致で決めたが、今回の報告では「次回会合まで経済動向の観察を続ける」との言葉が加えられ、早ければ4月にも金利引上げが行われる可能性も出てきたと7日付伯字紙が報じた。
経済基本金利の据え置きは5、6日の委員会前から予想されていたが、今回の据え置き発表後、市場では、年内の基本金利引上げはないとの見方が陰を潜め、早ければ4月、遅くとも年内に金利の引上げ再開との見方が強まっている。
Copomが決める経済基本金利は国債や預貯金の利子計算の基礎となる金利で、国内外の経済動向が引き下げや引上げの判断基準とされる。
例えば、08年の国際的な金融危機勃発で経済活動が落ち込んだ時期は経済活性化のために引き下げられたが、経済が活性化し、インフレが懸念され始めた10年には引上げに転じた。引上げは11年7月まで続き基本金利は年12・50%に達したが、欧州経済危機で経済が減速化し始めた同年8月以降は10回連続引き下げられ、ブラジル史上最低の年7・25%という現行金利が昨年10月から続いている。
基本金利が低いと国債などの公的負債も利子の支払いが少なくて済むため、政府としては金利が低い方が望ましいが、通貨政策委員会にとって見逃す事が出来ないのは最近のインフレ動向だ。
政府の公式物価指数であるIPCAは1月に前月比0・86%、前年同月比6・15%上昇し、7カ月連続で市場の予測を上回った。市場からは年内に政府目標上限の年6・5%を上回る可能性を指摘する声もあるが、先週発表された12年の国内総生産(GDP)が0・9%の伸びだった事で今回の基本金利引上げは見送られたようだ。
Copomが景気とインフレの板ばさみとなっている事は、前回までは「基本金利は必要かつ充分とみられる期間据え置く」と繰り返してきた表現が、「次回会合まで経済動向の観察を続ける」という表現に変化した事からも見てとれる。
5日夜にはディーゼル油の5%値上げが発表され、6日のペトロブラスの株価が9〜15・1%急騰したが、ディーゼル油の値上げは運送費などの値上げにも直結する。政府はバスや運送部門への減税処置を検討中というものの、ディーゼル油値上げがインフレ圧力となる可能性は否めない。