ニッケイ新聞 2013年3月8日
キリスト教社会党(PSC)が下院の人権委員会委員長に同性愛者や黒人差別で知られる牧師の議員を指名し、波紋を広げている。6〜7日付伯字紙が報じている。
下院の人権委員会は長らく労働者党(PT)から委員長が出ていたが、今回はPTが連邦政府で連立を組むPSCにその座を譲ることとなり、PSCは6日、3時間にわたる会議を行った。その結果、17人の下院議員中、13票を集めたマルコ・フェリシアーノサンパウロ州下議が指名を受けた。
だが、フェリシアーノ下議は同性愛者や黒人を差別する発言で知られていた。例えば、2011年にツィッターに「同性同士の愛は嫌悪や拒絶、犯罪を産む」「アフリカ人はノアによって呪われた先祖の子孫」と書き込んでいる。さらに別の機会では「同性愛者の保護ばかりが議論され、少数派の移民問題について語られる機会が少ない」などとも語っている。
エンリケ・アウヴェス下院議長は強い反発を呼ぶことを憂慮し、PSCに同下議の指名を取り消すように求めたが、PSCは応じなかった。
これらの反発に対し、フェリシアーノ氏は「自分は人種差別主義者ではない」と否定した上、「人権問題で最も大きな存在とされる黒人のマーティ・ルーサー・キング氏も私と同様に福音派の牧師だ」と語り、「私の母親は黒人の血を引いてるから、私は人種差別主義者ではない」と語った。過去のツィッター発言も「科学的な投稿で人種差別ではないから取り下げない」としている。
だが、フェリシアーノ氏に対する人権団体の反発は大きく、6日に行われるはずだった下院の委員会での承認投票は反対派のデモで中止された。7日の委員会は外部の人間を排して投票を行い、18人中11人の賛成で委員長就任を承認した。抗議団体は承認後も、議会の床に一斉に寝そべるなどの抗議を行った。