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チャベスの遺体を永久保存=社会主義国大物と同等に=ジウマとルーラも葬儀参列=「喪の強制」と憤る反対派も

ニッケイ新聞 2013年3月9日

 5日に死去したウゴ・チャベス大統領の葬儀は8日11時に行われ、ジウマ大統領やルーラ前大統領らも7日に弔問にかけつけた。ベネズエラ政府は、埋葬は行わず、遺体を永久保存するという。8日付伯字紙が報じている。

 ニコラス・マドゥーロ暫定大統領は7日、国営テレビの放送を通じて、チャベス氏の遺体は永久保存すると発表した。これは、旧ソビエト連邦のレーニン、ベトナムのホー・チミン、中国の毛沢東、北朝鮮の金日成と金正日といった社会主義国家の国家主席と同じ遺体処理法だ。チャベス氏の遺体は革命博物館(現在ボリバリアーナ革命博物館に改修中)に移され、中国の天安門広場での毛沢東のように、透明の棺に入れて公開されるという。
 また、6日からはじまった通夜は、8日の葬儀後も最低1週間延期される。遺体は通夜の間、カラカスの軍隊学校にあるが、遺体処理後はエネロ23地区のクアルテル・ダ・モンターニャにある革命博物館に移される。この兵営はチャベス氏が92年にクーデターを企てた際、司令基地に使ったところだ。
 マドゥーロ氏はチャベス氏の遺体を博物館に置くと発表したが、国民の間ではチャベス氏が心酔した革命家シモン・ボリバルの墓もあるパンテオン国立墓地に移すことを望む声も出ている。国立墓地への移転は、憲法で死後25年以上たってからと規定されている。
 ジウマ大統領やルーラ前大統領らのブラジル弔問団は、7日午後、同国に到着した。ジウマ大統領はベネズエラが今後もチャベス大統領の築いてきた政治を継続することを期待する一方、ルーラ前大統領共々、チャベス氏が癌の治療先にキューバのハバナを選んだことを悔やんだ。両氏は自分たちも癌を治療した「サンパウロ市シリオ・リバネス病院を選ぶべきだった」との見解を示している。
 メンサロン事件で断罪され、国外逃亡を防ぐためのパスポート差し止め中のルーラ政権時代の官房長官、ジョゼ・ジルセウ被告も葬儀参列を希望したが、連邦最高裁は許可しなかった。
 8日の葬儀には80カ国以上の政府首脳がかけつけた。ラ米からはジウマ氏やルーラ氏に加え、アルゼンチンのクリスチーナ大統領、ボリビアのエヴォ・モラエス大統領、ウルグアイのホセ・ムヒカ大統領、エクアドルのラファエル・コレア大統領、キューバのラウル・カストロ国家評議会議長などが参加した。
 一方、反チャベス派の国民の間ではこうした処置に抗議の声を上げる人たちも少なくなく、「これではまるで社会主義国家だ」「喪に服すことを強制させられている」などといった言葉がネット上などに見られる。ベネズエラでは、30日以内に新大統領を選ぶ選挙を行うことが義務付けられており、マドゥーロ暫定大統領と、野党連合の民主連合会議(MUD)推薦のエンリケ・カプリレス氏による大統領選が予想されている。