ニッケイ新聞 2013年3月9日
ブラジルの農業畑議員の代表格として知られるカチア・アブレウ上院議員の息子名義の農園に土地無し農民が侵入し、破壊行為を行ったと、8日付伯字紙が報じている。
7日午前、トカンチンス州アリアンサ市にあるカチア上議の息子名義の農園に、顔を隠し、鍬を抱えた農民約500人が侵入した。侵入者たちはユーカリの苗畑を壊し、フェイジョンや米の種子を蒔いていった。
この行為は土地無し農民運動(MST)に加わる国際的女性組織「ヴィア・カンペジナ」が、8日の国際女性デーにあわせて4日からはじめた「農村女性の戦いのための全国行進」という企画の一環だという。
MSTトカンチンス支部長のマリアナ・シウヴァ氏は、「農産物加工業の代表的存在のカチア上議は自身の農園で犯罪行為を働いている。私たちは上議に、環境を破壊する代わりに、人々にとって大切なのは様々な農産物を育てることだということを教えたかった」と語っている。
カチア上議は2011年と12年に、永久保護地区の伐採を行ったとして国立再生可能天然資源環境院(Ibama)から2度に渡り罰則を受けている。
カチア上議は侵入事件を受け、武装した警備員を置くと発言。「私は小さかった子供たちとあの農園で寝ていたが、武器を持ったことはなかった。子供や農園の従事者を危険にさらすことはできないし、農園にある何十もの農機具に火でもつけられたりしたらとんでもない」と話している。
カチア氏はMSTの行為は政治的なものと見なし、所有権保護の立場から、連邦警察に侵入者たちの調査を依頼した。MST側は、メンバーが農園にいた間、暴力行為は一切なく、従事者を脅したりもしていないと反論している。