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今度はセスタが減税対象に=インフレ対策を本格化=国民のための安定経済強調=PSDBは9月の裁可批判

ニッケイ新聞 2013年3月12日

 ジウマ大統領が8日、セスタ・バジカに対する減税処置導入を発表した。減税導入はラジオやテレビで発表されたが、民主社会党(PSDB)は、野党が出した同様の減税処置法案を大統領が拒否していなければ、国民は昨年9月から減税の恩恵に与っていたはずだと批判したと9日付伯字紙が報じた。

 8日発表の減税は、食料品や日用品に対する社会統合基金と社会保険融資納付金(PIS/Cofins)、工業製品税(IPI)徴収差し止めによるもので、同処置で対象品目の価格は10%程度安くなる見込みだ。
 食料品などの減税は5月1日発表と見られていたが、2月の拡大消費者物価指数(IPCA)が前月比0・60%、12カ月の累積も6・31%に達し、3月中に政府目標上限の6・5%を超えそうな勢いで、経済基本金利(Selic)が4月中に引き上げる可能性も出てきたため、導入が前倒しされた。2月のIPCAは1月より小さいが、電気料金値下げなどで0・38〜0・51%に収まるとの予想を大幅に上回った。
 2月の主なインフレ要因は、前月比5・40%上がった私立校授業料や同1・45%上がった食料品、1月のガソリンなどの燃料値上げで、今回の減税は、低所得者を直撃する食料品や日用品価格引下げによるインフレ抑制を狙った処置だ。
 対象品目は牛、豚、鶏などの肉や魚、米、フェイジョン、ジャガイモ、小麦粉、パン、野菜、果物、牛乳、砂糖といった食料品と、石鹸、歯磨き粉、トイレットペーパーなどの日用品。最大の恩恵を受ける石鹸は、PIS/Cofins12・5%、IPI5%の計17・5%値下がりする可能性がある。今回の処置で今年の税収は55億レアル、来年からは74億レアル減る見込みだ。
 2月のPT政権10周年記念式典でルーラ前大統領から14年大統領選候補に指名されたジウマ大統領は、前大統領に託された経済活性化を意識しつつ減税処置を発表。「安定経済は全国民の生活の基礎」「インフレへの配慮は一時たりとも忘れない」と強調した。
 他方、PSDBのアエシオ・ネヴェス上議は、「昨年の国会で承認された野党のセスタ減税案を拒否したのは大統領」で「国民は昨年9月から減税の恩恵に与っていたはずだった」と批判。「大統領は野党主導の減税実現を認めたくないが故に国民の苦難を長引かせた」とぶち上げた。
 14年大統領選を睨んだ論戦は既に始まっており、2月に「登録済みの極貧者は3月で一掃」と発表した際、ジウマ大統領が貧困者の登録システムはPT政権が創設と発言したのに対し、PSDBは「PTは過去に敬意を払わない」と反発。カルドーゾ政権で社会保障局長を務めたヴァンダ・エンジェル氏は8日、社会登録システムは01年創設で、02年には750万人が登録されていたと反論している。