ニッケイ新聞 2013年3月12日
ここ2、3年でサンパウロ総合大学(USP)の哲学文学人間科学部への日本人留学生が増えており、107人中13人と一割以上を占めるまでになった。10年前には「ほぼゼロ」だった状況から比べれば急激な増加だ。森幸一教授は「韓国人留学生も6人、中国マカオ大からも3、4人来るようになった。アジア勢が急激に増えている」と見ている。08年に学術協定を結び、昨年初めて留学生を送った上智大学の学生が今年は5人いる。
池上実花さん(いけがみ・みか、20、東京)は親が在日韓国人で韓国学校を卒業しており、韓国語がペラペラ。「日本にも韓国にもない世界、移民社会がブラジルには広がっている」と思って留学を目指した。
小沢泉さん(上智、20、神奈川)も片親が在日韓国人だが、池上さんとは逆に「自分が韓国語をしゃべれないことにコンプレックスを持っていた」という。留学に来てから池上さんとボン・レチロ区の韓国コミュニティに出入りするようになり、「チャンゴ(韓国太鼓)に参加したいと思うようになった。大学でもハングル語をやるつもり」と来伯してから目覚め始めているという。
奈良紗苗さん(なら・さなえ、上智、22、埼玉)は「皆がやっていない言葉としてポ語を選んだ。サンパウロには色んな人種がいるから来てみたかった」という。
桒久保真実さん(くわくぼ・まみ、上智、20、茨城)は小中学校でサッカーをやって来た。父が鹿島アントラースの大ファンで、幼少時から試合を見に行っていた関係で「初めての聞く外国語がポ語だった」。父から貧しい子供がサッカー選手になっていく話を聞き、「格差社会とはどんなところか」との興味もあってブラジルを選んだ。
井上理恵さん(神奈川大学大学院、33、神奈川)は歴史民俗資料学を専攻しており、「日本移民の民俗を研究したい」と意気込んでいる。
澤永遼さん(さわなが・りょう、神奈川大、22、富山)も中高でサッカーをやり、コンフェデラソン杯のある今年、当地の状況を知りたいと思って留学した。
山下恵理子さん(上智、20、埼玉)は昨年5週間オーストラリア留学をし、外から日本を見ることに目覚めた。「日本とはまったく違う国を見てみたかった」と語った。その他、大阪大学からも後期に2人留学してくるので計15人になるという。