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人権委員会=新委員長への抗議続く=福音派まで辞任署名運動=礼拝も反対派が支持者上回る

ニッケイ新聞 2013年3月13日

 「同性愛差別者」「人種差別者」との批判を受けながら、7日に下院の人権・少数派委員会委員長に選ばれたマルコ・フェリシアーノ下院議員(キリスト教社会党・PSC)に対する、議会内部、福音派諸団体、一般の人権団体の反発が拡大している。8〜12日付伯字紙が報じている。
 「同性愛結婚は嫌悪や暴力しか生まない」「アフリカ人の先祖は呪われている」などのツィッター投稿で2011年に物議を醸していたフェリシアーノ下議は、5日に人権委員長選出をまかされたPSCからの党内指名を受けた時点で騒動となった。6日の委員会での投票は議会にかけつけた人権団体のデモで中止され、7日の委員会も、前委員長を含む反対派議員らが激怒して途中退出するなど、緊迫した空気が流れていた。
 フェリシアーノ氏自身は「キング牧師も私と同じ福音派牧師だ」「私の母方には黒人の血統がある」と発言することで人種差別者であることを否定しようとしたが、同氏に対しては、PSCの基盤である福音派宗教団体からも反対運動が起きている。フェリシアーノ氏の委員長当選直後、39の宗教団体が「レッデ・ファーレ」というサイト上で、委員長辞任を求める署名運動を開始した。同組織代表は「われわれ福音派の立場を現してはいない」とフェリシアーノ氏を批判している。
 また、各種団体の抗議行動も日に日に激しさを増している。9日はサンパウロ市パウリスタ大通りで同性愛者たちや社会自由連合(PSOL)の党員が約1千人集まり、フェリシアーノ氏辞任を求めるデモ行進を行ったほか、全国の主要都市で抗議行動が行われた。
 また、10日にはサンパウロ州フランカ、11日にはサンパウロ州リベイロン・プレットでの礼拝中に抗議運動が起きた。どちらも、フェリシアーノ氏が主任牧師をつとめるアッセンブレイア・デ・デウスのリヴラメント聖堂の枝教会での礼拝だったが、10日は200人以上、11日も約300人の反対派が抗議文を書いたボードを掲げ、罵声を浴びせた。11日の集会に来た同氏の支持者は100人に満たなかったという。
 また、人権委員会前委員長で反フェリシアーノ派の代表的存在のドミンゴス・ヅットラ下院議員(労働者党・PT)は、「福音派と環境運動家たちのあいだで人権委員会を独占しようとする動きがある」として、この動きを強く批判している。
 フェリシアーノ氏は同性愛結婚や無脳症児の中絶などにも反対を唱えており、容認傾向が強まっている最高裁の判断を振り出しに戻そうとしているとも囁かれている。