ニッケイ新聞 2013年3月13日
大サンパウロ市圏フェラス・デ・ヴァスコンセロスの緊急医療サービス(SAMU)勤務の医師、少なくとも6人が、シリコン製の指で24時間当直の出勤記録の偽造工作を繰り返していたことが判明した。12日付伯字紙が報じている。
不正が判明したのは、市が出勤を確認する指紋チェック機の傍に設置したカメラに、SAMUのタウアネ・ヌーネス・フェレイラ医師がシリコン製の指6人分をチェック機に通しているのが映し出されたためで、同医師は現行犯逮捕された。
タウアネ容疑者の供述によると、首謀者はSAMUのコーディネーターのジョルジ・ルイス・クリー医師で、同氏の娘のアリーネ医師も関与していた。クリー医師の計画に参加した医師たちは1カ月に4度の24時間勤務を休む代わり、クリー氏に4800レアルを支払っていた。不正は2007〜08年頃からはじまっていたという。
事態を重く見た市は12日、クリー医師、タウアネ医師、アリーネ医師、さらに2人の医師の計5人に対し、不正に関する捜査が終わるまで60日間の就業禁止を命じた。ただし、その間の各医師への給料は支払われるという。なお、アリーネ医師は3年前にSAMUに採用されながら、1度も勤務していないことも判明している。クリー氏はこの日、病院に姿を現さなかった。
就業禁止となった医師たちは、公文書偽造、詐欺、犯罪組織形成、職権濫用などの疑いで調査を受けている。
ブラジル電気保安協会(Abese)のロジェリオ・レイス会長は、「指紋チェック機を通過するほど精巧な指の複製は、本物の指を元にして作らない限りありえない」と答えており、疑惑の医師たちは自らの指を使ってシリコン製の指を作らせた可能性が強い。