ニッケイ新聞 2013年3月13日
サンパウロ州グァタパラ移住地で集団強盗が横行し、昨月中旬から今月にかけて5件発生している。同移住地の治安部(中塚広行部長)は緊急回覧を配布し、住民らに不審な人物や車を見たら、連絡するよう警戒を呼びかけている。同地文協の茂木常男会長(66、山形)は「日系人だけが狙われているわけではないが、(1962年の初入植以来)こんなに強盗が多発するのは初めて」と驚きを隠さない。移住地内は戦々恐々とした雰囲気に包まれているという。
先月15日夜10時ごろ、Kさん宅に4人組の強盗が侵入、妻と娘をトイレに閉じ込め、約2時間物色し、家財道具、電化製品、アクセサリーなど(5千レアル相当)を持ち去った。強盗らは帰宅したKさんにピストルを突きつけ、財布、携帯電話を奪い逃走した。
数日後には、グァタパラ市の日系人が経営するロッテリカに3人組が押し入り、金品を強奪。日系家庭が多い移住地内に逃げ込んだ強盗を追うヘリが上空を旋回、パトカーとのあいだで銃撃戦となり、騒然とした空気に包まれたという。2人は逮捕されたが、残り1人は逃亡中だ。
今月8日夕刻には文協近くの日本人宅に「車が故障したのでラジエーター用の水がほしい」と男が助けを求め、家人が玄関を開けると強盗に早変わり。車2台に略奪品を積んで逃走。このうち一台は近郊のセルトンジーニョで発見されている。グァタパラ市の郵便局、電気屋も軒並みに襲われており、住民らは打つ手もなく、不安におびえているようだ。
養鶏業を営むYさんは「夜に番犬が鳴いただけで(強盗じゃないかと思い)怖い」と眉をひそめる。
茂木会長によれば、警察にもパトロール強化を要請したものの、同市には2、3人しか警察官が駐在しておらず「体制上、難しい」との回答だったという。強盗による怪我人などは出ていないようだが、移住地に平穏な生活が戻るのは、いつの日か。