ニッケイ新聞 2013年3月15日
【既報関連】記録的な豊作が予想され、早めに取れた分を運び出すために港や道路の渋滞を招いている大豆やトウモロコシが、輸送能力の欠如や倉庫の不足といった問題や棉に付く害虫の蔓延で今後の被害拡大が懸念される事態に直面していると13日付フォーリャ紙や14日付バンジニュースなどが伝えている。
大豆やトウモロコシの収穫が順調で例年は4〜5月に起きる港や道路の渋滞が既に始まっている事は14日付本紙でも既報だが、13日付フォーリャ紙では、マット・グロッソ州(MT)ではトラックの不足などのせいで、収穫さえ出来ないままの大豆が畑で朽ちていくと報じている。
輸送システムの問題はブラジルの経済発展を妨げる要因の一つだが、今後の穀物生産を賄う切り札として新しく開拓された畑が続くMT北東部では、大豆を運び出すトラックが手配できず、大豆の収穫さえ出来ないと農夫が頭を抱え込んでいる。
農夫達によれば、農産物を港まで運ぶトラックは、国道80号線の状態が余りにも悪いため、1度や2度は来てもそれ以上戻って来ないという。トラックが来なくても倉庫が充分にあれば、収穫だけ済ませておいて、後からゆっくり出荷すればよいと考える事も出来るが、問題は保存しておく倉庫も足りない事だ。
倉庫がなくて収穫できないと考え、収穫を先延ばしすれば、大豆そのものが畑でダメになるし、入ってくるはずの金が入ってこないといった問題も生じる。
4千ヘクタールの畑を持つ農家の一つは、収穫期前に契約した運送会社が来てくれるから状況はましと言いつつ、収穫を遅らせた事で5%相当の大豆を失った。また、トン当たり45レアルだった運送費は、道路の状況や渋滞、燃料値上げなどで75レアルに急騰、最終的には20%減収と見ている。同様の問題は中西伯の至るところで見られ、豊作貧乏の言葉が大豆やトウモロコシの生産農家を脅かしている。
また、ブラジルでは棉に付く毛虫(ラガルタ)の被害が蔓延しており、薬をまいたりして対処しているが、この虫が大豆やトウモロコシにも被害をもたらしている。MTや南マット・グロッソ、ゴイアス、ミナス、パラナ、サンパウロ州で被害が出ている事は昨年12月にも報じられ、数十億レアルの被害が出ているというが、棉用の農薬は大豆やトウモロコシの畑では使えないため、多くの農家が処置に困っているという。
サンパウロ州内陸部のオレンジ畑では企業の買い控えなどのため、トラクターで果樹園を潰す光景も見られており、干ばつや洪水を免れても受難が続く農家が多いようだ。