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ブラジルの人間開発指数が上昇=国連開発計画も高評価=順位は依然85位だが=現政権での改善は減速か

ニッケイ新聞 2013年3月16日

 国連開発計画(UNDP)が14日に2013年の人間開発報告書(HDI)を発表し、ブラジルは1990〜2012年の20年余りで最も状況が改善された国の一つと賞賛したと15日付伯字紙が報じた。ブラジルの順位は187の国と地域中85位で前年と同じだが、社会政策などが評価され、台頭著しい南の国の一つとして紹介された。

 14日発表の人間開発報告書は「南の台頭—多様な世界における人間開発」と題され、187の国や地域の人間開発指数(HDI)を分析した上、ブラジルを台頭が著しい国の一つと紹介した。
 1990年創設のHDIは、保健、教育、所得の評価を総合し、1〜0の数字(1が最も良い)で表す。「南の台頭」という題は、北半球には先進国が多く南半球には開発途上国が多いとの認識を反映している。トップ3国はノルウェー、オーストラリア、米国で、JDIは0・955、0・938、0・937。紛争で裂かれたコンゴ民主共和国と干ばつに苦しむニジェールは0・304で最下位だった。
 ブラジルのHDIは0・730で、前回の0・728より若干改善。南米ではチリ(0・819)やアルゼンチン(0・811)などの後塵を拝しているが、最新のHDIは1990年の0・590から24%改善し、改善幅が最も大きい上位40カ国に入る。ブラジルが他のラ米諸国を上回る改善を遂げたのは、経済力向上や子供一人にかける教育費の増加、平均余命の伸び、栄養状態の改善などが影響している。
 UNDPはブラジルのボウサ・ファミリア(生活扶助)は最低賃金引上げや教育の普及にも繋がり、格差是正に寄与したと評価。平均所得は1万152ドル相当、25歳以上の人の平均学歴は7・2年、就学時点の子供に期待される学歴は14・2年、平均余命は73・8年と報告された。
 2010〜12年のHDIの伸びは0・5%で、2008〜10年、2006〜08年の伸びよりも小さく、現政権での改善率が鈍ったと取る向きもあるが、政府はUNDPのデータは最新の数字ではないと抗議。UNDPは、同じ年にとった統計でないと比較できないと弁明の上、現在のブラジルのHDIは0・754になると説明した。
 他方、南の台頭を表す数字の一つは、伯、中、印の新興3カ国と、米、英、独、仏、伊、加の先進6カ国の経済力の比較だ。1950年の世界のGDP占有率は先進国50%、新興国10%だったが、2020年は双方が30%ずつ、2050年は、新興国40%、先進国20%と予想されている。中国やインドは北半球にあるが、UNDPでは台頭する南の一部として位置づけている。
 90年は世界人口の30%だった中流階級は10年は60%となり、2030年には80%になる見込み。国民の所得倍増にかかった年は、英国150年、米国50年に対し、中国やインドは20年など、世界の経済地図の変化は明らかで、国際機関の体制も変えるべきとの声も出ている。