ニッケイ新聞 2013年3月19日
ジウマ大統領が15日、民間航空局長官、農務相、労働相の3要人の交代を発表した。3人の就任式は16日に行われたが、いずれも14年の大統領再選を意識した配置と見られている。16〜17日付伯字紙が報じている。
民間航空局長官は、無所属のヴァギネル・ビッテンコート氏から、民主運動党(PMDB)のモレイラ・フランコ氏に交代した。戦略局長官だったフランコ氏の起用は、14年のワールドカップに向けての空港整備と運営権委譲を統括し、より大きな権限を持つ民間航空局を任せることで、副大統領のミシェル・テメル氏が属するPMDBとの関係強化を狙ったと見られている。
労働相には、癌闘病中のメンデス・リベイロ氏(PMDB)に代わり、アントニオ・アントラーデ氏(PMDB)が就任した。ミナス・ジェライス州に基盤を置くアンドラーデ氏を起用したのは、ジウマ大統領の右腕的存在のひとりであるフェルナンド・ピメンテル商工開発相(労働者党・PT)が14年にミナス州知事選を戦う際の支援を狙うと共に、同党が大統領選で民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーヴェス氏を支援しないようにするためと見られている。
民主労働党(PDT)が担当する労働相は、ブリゾラ・ネット氏に代わり、マノエル・ジアス氏(PDT)が就任した。ジアス氏は、ブリゾラ氏の前任でPDT党首のカルロス・ルピ氏に近い人物で、同氏の起用は、14年大統領選以降のPDTとの連立を維持するためと言われている。PDTは、連立政権を抜けてPSDBかエドゥアルド・カンポス氏のブラジル社会党(PSB)を支援すると脅すなど、党内も分裂状態で、党内統一の課題を果たせなかったブリゾラ氏は、10カ月の短命閣僚となった。
今回の閣僚人事に対し、アエシオ氏は「政府としての機能性よりも、自分の大統領選再選を優先させたような人事だ」と、強く批判した。
それに対しジウマ大統領は、16日の3人の就任式で、「(ブラジルのように多様性のある国では)連立の強化は国の行政に不可欠」で「共に戦う人の価値を認めることが必要」として、新人事を肯定、反論を退けた。
閣僚人事をめぐる課題はまだ残されている。ひとつは共和党(PR)との連立問題だ。PRは、2011年のパウロ・セルジオ・バッソス氏の運輸相就任は、バッソス氏とジウマ氏の個人的関係によるもので「党への割当」ではないと考えており、バッソス氏の交代を求め続けている。
また、13日にカサビ前サンパウロ市市長が党首をつとめる社会民主党(PSD)に断られた中小企業相と戦略局長官の人事も残っている。大統領は、同党所属のサンパウロ州副知事のギリェルメ・アフィフ・ドミンゴス氏を中小企業相に起用する意向だったと言われている。