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リオ・サンパウロ州で夏の水害再び=山間部の死者21人に=大統領「思い切った対策を」=防災システムは万全か

ニッケイ新聞 2013年3月20日

 【既報関連】11年1月に900人を超す死者が出たリオ州山間部が豪雨に見舞われ、ペトロポリスでは17、18の両日の雨で21人の死者が出たと19日付ブラジルメディアが伝えた。南東伯の雨は20日までの予想だが、雨が弱まっても地盤が緩んだ状態は続き、警戒が必要だ。

 19日付各紙サイトによると、ペトロポリスでの死者は同日13時現在21人、山間部全体で1466人が自宅以外の場所に避難している。
 被害が最も激しい同市キタンジーニャでの雨は24時間に428ミリ。月間平均降水量の倍近い雨を吸い込んだ山肌の土は岩盤の上を滑り落ちて山間の家々を襲い、町を流れる川の増水を招く。
 今回の雨の被害は2年前ほど広域ではないが、土砂崩れや洪水は隣接のテレゾポリスや、海岸部に向かうドゥッキ・デ・カシアス市シェレーン地区でも起きている。
 ローマ法王の就任式出席のために17日にイタリア入りしたジウマ大統領は、18日にカブラル知事に電話し、人的被害拡大を防ぐため「もっと思い切った対策をとる」よう求めると同時に、グレーシー・ホフマン官房長官にも必要な支援を行うよう指示を出した。
 キタンジーニャ地区では、再び降り始めた雨を見て救出作業を停止した消防隊の目の前で、子供達が生き埋めになった家族が、「子供が見つかるまでは死んでもこの場を離れない」といって素手で泥を掻き分ける姿もみられた。
 救出作業は雨中にも関わらず再開。19日も行方不明者の捜索が続くペトロポリスでは、救出作業中に崩れてきた塀に直撃されて死亡した防災局職員2人を含む21人の犠牲者が出ている。
 負傷者は、塀倒壊で頭蓋骨骨折を起こした防災局職員ら30人超。19日未明にかけても、危険を知らせるサイレンの音が頻繁に鳴り響いた。
 ジウマ大統領はイタリアで受けた質問に、11年に導入した防災システムは万全できちんと機能していると答えたが、ペトロポリスでは、危険地域の住民5千人の移動問題が未解決だ。2年前に約束された住宅建設も終わらない内に新たな水害が発生した事も、行政側の対策の不備や遅れを表している。
 山間部の開発や住宅政策は防災へも配慮が必須だが、ドゥッキ・デ・カシアスでは政府の持ち家計画ミーニャ・カーザ・ミーニャ・ヴィダのコンドミニアム二つが洪水被害に遭った。1月に犠牲者が出たシェレーン地区では今も、危険地域住民が1万8千人いる。
 今回の雨で大洪水の起きたサンパウロ州北部海岸サンセバスチャンでも、「雨が降る度に水を被り、家具とかを失っている」と嘆く住民がいるが、転居については条件が整わないなどの理由で消極的だ。
 2月に水害が起きたクバトンでも雨の被害が報告されているが、全国的な防災システム導入は14年までにと約束したジウマ大統領にとり、2年前と同地域で同じ光景が起きたという事実は何を意味するのだろうか。