ニッケイ新聞 2013年3月20日
19日にバチカン市国で行われたフランシスコ法王の就任ミサに出席したジウマ大統領が18日、法王に対する注文を口にした。また、法王との対立が伝えられていたアルゼンチンのクリスチーナ大統領は法王との対面を果した。19日付伯字紙が報じている。
ジウマ大統領は17日、パトリオッタ外相やメルカダンテ教育相らと共にローマ入りした。ジウマ氏はローマ市内の博物館での展覧会から退出しようとした際に記者団から取材を受け、フランシスコ法王の貧困に苦しむ人たちの側に立った姿勢を評価し、「貧しい人たちにとって重要な役目を果たすはずだ」と語った。
だが、大統領は「それ(貧困問題)だけではまだ不十分」と発言し、「今の世の中は、それが仮に正反対の違いであっても、様々な違いが理解されることを望んでいる」と語った。ジウマ氏は直接明言こそしなかったが、福音派や同性愛や妊娠中絶の意味をこめたものと思われる。
その上で「(フランシスコ法王は)カトリック教会内で革命的な見解を示し、この手の問題を擁護するようなタイプには見えない」と語った。
ジウマ氏とカトリック教会の関係は決して良好なものではない。それは2010年の大統領選挙の際、ブラジル全国司教会議(CNBB)が発表した森林法や同性愛、中絶に関する見解がジウマ氏の見解と異なったりして、苦戦を強いられたからだ。
政府は、サンパウロ市教区のオジロ大司教が今回の法王選挙(コンクラーヴェ)の有力候補になった際も、オジロ大司教が法王に選出されたら、政府の見解と異なる同氏の意思がブラジル内で強い影響力を持つようになるのではないかと危惧していた。
フランシスコ法王は7月にリオで行われるカトリックの世界青年大会にジウマ大統領を招待するはずだが、同大統領はまだ参加の意思を明らかにしていない。
一方、クリスチーナ大統領は、自国から選ばれた法王ということもあって、就任ミサに参加する首脳の中で新法王に会う最初の人物となり、18日にバチカンで昼食をともにした。同性愛婚の問題などでかねてから確執が伝えられている両氏だが、会合はにこやかに行われた。
会食後、クリスチーナ大統領はローマで会見を開き、自国から法王が生まれた喜びを語る一方、10、11日の島民投票で島民が英国の実効支配を望んでいることが判明したマルヴィナス諸島に関し、「英国軍が南大西洋に派兵されないよう仲裁して欲しい」と懇願したことを明らかにした。