ニッケイ新聞 2013年3月20日
東日本大震災が引き起こした福島第一原発事故の風評被害の払拭を目指し、昨月5日から4日間、福島県内で初の「在外県人会サミット」が開かれた。ブラジル、ペルー、アルゼンチン等南米諸国、北米や中国など世界9カ国から19の県人会関係者が一堂に会し、被災地の復興状況等を視察し、意見交換会を行った。ブラジルを代表しサミットに出席した曽我部威事務局長と、今年会長に就任した永山八郎さんが来社し、報告を行った。世界の福島県人会間の連携を強めようと、「ワールド福島県人会」も設立。母県の状況を世界に発信すると共に、2年おきにサミットを開催し支援策を検討する。各国の県人会が手を携え、母県の復興に向けて動き出した格好だ。
知事公館で行われたサミットには代表者約20人が集い、「各国で県の正しい現状や取り組みを発信し、県への来訪者増加につなげるべき」など風評被害対策について意見を述べ合った。
当地代表として出席した曽我部さんは、県産品の国外進出を風評被害打破の一手と考え、「福島の食文化を世界に知らせるべき。ラーメンや地酒販売、県物産の将来的な進出を考え、ブラジルで福島をアピールしてほしい」と提言した。
ブラジル福島県人会では約2年前から喜多方市の協力を得て「喜多方ラーメン祭り」を開催するなど、母県の食文化を伝える取り組みを行っている。
曽我部さんは「被害が大きすぎて復興はまだまだ。政府の支援も末端まで行き届いていないのが現状だが、将来に大きな希望を持てるサミットになった」と充実した表情で語り、震災後一時中断されていた短期研修生制度の、2014年以降の再会が決まったことも併せて報告した。
永山会長も、「毎日のように『ワールド福島県人会』からニュースが入ってくる。祖国を何らかの形でお手伝いできれば」と話した。