ニッケイ新聞 2013年3月20日
「文協を通して日系社会全体に」。そう日本の篤志家は日下野良武さんに伝えたという。世界一周する豪華客船「飛鳥」で日下野さんは4回もブラジルに関する講演を行い、その全てをその篤志家は聞き、日系社会に感銘を受けたと聞く。それを、あたかも現在の文協の活動や事業に感銘を受けたから大型寄付を決めたように会員に伝えたのは、いかにも〃我田引水〃だ▼木多会長は今年初めまで弊紙の取材に対し、国士舘構想や援協診療所跡地の日本文化スペース化構想を放ったまま、「次の会長は山下副会長にお願いしたい」と言っていたが、大型寄付がくるや「やり残したことがある」と再出馬宣言をし、前述のような文書を配布した。〃棚からボタ餅〃の1億円を、すかさず選挙に活用するとは抜け目がない▼文協らが主催したサンパウロ市議祝賀会に対し、融合派が「リベルダーデ文協ではないのだから、全伯規模で行うべき」と反対したと聞いたとき、このような正論をいうグループが必要だと感じた▼というのも、全伯日系人大会を地方持ち回りで開催できないかと思っていたからだ。全伯の日系団体代表が一堂に会する機会を2、3年に一度でいいから作れないか。全伯が無理なら、まずはサンパウロ州大会でもいい▼今年のレジストロ百周年を皮切りに、今後続々と百周年を迎える移住地が続く。同日系人大会をその地で開催して芸能団を伴って全伯から慶祝に訪れ、親睦を深める▼その際、必ず各地の市長らを表敬訪問して、日系の団結力をその地の政治家にアピールすることは、地元団体にとって何よりの支援だ。篤志家の想いを呼び水に、団結してコロニアの活性化に踏み切れないものか。(深)