ニッケイ新聞 2013年3月21日
中国の輸入業者サンライズ社が、ブラジルからの大豆の買付をキャンセルすると言い出したと20日付伯字紙が報じた。
米国の不作などで、大豆輸出世界一を維持しているブラジルにとって、世界の大豆貿易の60%を占める中国は主要相手国の筆頭で、サンライズ社は中国が輸入する大豆の10%を扱う会社だ。同社のブラジル産大豆の買付契約は年間700万トンだが、内200万トンをキャンセルし、残りの契約についても同様の措置をとる予定だという。
ブラジル側の関係者によれば、サンライズ社が大豆買付契約を破棄という噂は5日頃から流れていたが、19日にはロイター通信を通じ、6万トン掲載の貨物船33〜35隻分の契約を破棄する意向を表明した。
サンライズ社は、1、2月分の大豆の買付契約は10〜12隻分だったが、ブラジルからの積荷は2隻分しか届かず、契約不履行を理由に契約を破棄する意向で、4〜6月分の契約(23隻)分も同様の措置をとるという。
大豆の輸送や港での引き渡し、積み込みまでの問題については本面でも報じてきたが、道路や鉄道といった輸送網整備の遅れや港での貨物処理能力拡大の遅れといった問題が、国際価格の低下傾向とあいまって、契約破棄という話に発展した。
サンライズ社がキャンセルすると言い出した大豆の買付量は約200万トンで、3月1〜16日の大豆輸出量の180万トンを上回る。3月前半の輸出量は、今収穫期の推定輸出量の5%に相当する。
ブラジルの問題は、輸出すべき荷はあるのに、輸送網の不備と港の管理などで、生産地を出てから船に積むまでの時間がかかり過ぎる事。サントス港では、クバトンに近いトラック専用の駐車施設から港の倉庫までの20キロの移動に12時間かかり、時速1・66キロなら蜘蛛や人間より遅いと皮肉られるほどだ。
ただ、サンライズ社による契約破棄問題は、国内のインフラ不備のほかに、国際的な大豆価格の低下傾向も関わっているというのが専門家の見解だ。手馴れた商社だと、価格が低下している商品は一度キャンセルし、より廉価になった時点で再契約という手口を良く使うが、現時点では米国の大豆の在庫は決して充分ではない上、ここ3〜5カ月の中国の大豆輸入は南米からの着荷の遅れなどで急に落ち込み、国内の在庫がかなり逼迫しているのが現状だ。
関係者は、中国が今、ブラジル産大豆の輸入をキャンセルしても、他から買えずに戻ってくると見ているが、今回の契約破棄で価格が下落すれば、輸送問題で損失を蒙った農家はさらに泣きを見る。