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外務省研修生=7年ぶりに制度が復活=OBが訪日、継続訴える

ニッケイ新聞 2013年3月21日

 1965年に始まった日本政府による「外務省指導者研修」がこのほど7年ぶりに再開され、ブラジルから4人の日系人が一週間訪日して日本政府や企業関係者らと会合をもった。
 これまで、同制度を利用してサンパウロ州からは75人が訪日した。元研修生らの一部からなる「外務省研修生OB会」は2年に一度、「日系人の将来」を軸にしたテーマで、ラテンアメリカ各国で「ラ米会議」と題した会合を開いており、来年はボリビアでの開催が決まっている。
 同会のオスカール・ウルシバタ会長(61、二世)、弁護士で文協評議員会長の原田清氏(72、二世)らOB、今回の研修で訪日した桑原功エジソン(49、三世)、希望の家福祉協会理事長の上村惠ジャイロ(57、二世)両氏が14日に本紙を訪れ、報告と制度継続の必要性を訴えた。
 「元研修生は、今や皆日系社会の大物」と言う原田氏によれば、研修生の日本への派遣日数は当初の70日から徐々に減り、7年前に停止となった。今回の研修再開は、メンバーからの陳情を受けた福嶌教輝・在聖総領事のはからいが大きかったという。
 今回のプログラムでは、ブラジルから両氏に加え弁護士の小野寺マルコス、ロンドリーナ市議の高橋マリオ・ネット氏の4人、パラグァイ、メキシコからも一人ずつ参加した。
 一行は日本で若林健太外務大臣政務官、山田彰中南米局長らに迎えられ、マルコス・ガルボン在日ブラジル大使、マルコ・ファラーニ在東京ブラジル総領事、大部一秋前総領事とも面会した。
 プログラム中の2月26日には、外務省内の会議室で「次世代の日系リーダー会議」と題した会合が開かれ、日本とラテンアメリカ諸国の経済関係強化、ラテンアメリカとカリブ地域の日系人の連携強化という2つのテーマが設けられた。
 前半では、米州開発銀行やフルッタフルッタ社など企業関係者、後半では武蔵大学のアンジェロ・イシ教授、駐日パラグァイ大使の豊歳直之氏らも発表、ブラジル代表として桑原、上村両氏もそれぞれ意見をのべた。
 「昨今まで日本はアジアにばかり目を向けていたが、特に中国の反日デモなどを受け、別の市場を開拓しようとしている。海外最大の日系社会があるブラジルはその有力候補。これまでのようにこちらから日本にお願いするだけでなく、ともに成長する関係になれると思う」。桑原氏は初研修の感想をそう語り、「今回の経験を、若い人とも共有したい」と続けた。
 すでに何度か訪日している上村氏も、「国外の日系人と会って話す機会があったのは大きい。とても興味深い経験だった」と振り返る。
 原田氏は24日に日本へ向けて出発し、制度継続に向けた交渉を行う意向だという。「OB会のメンバーは高齢化している。若い世代を取り入れ、日系社会、ひいてはブラジルのリーダーとなる人材を育成する必要がある」と力を込めた。