ニッケイ新聞 2013年3月21日
サンパウロ総合大学(USP)の学術交流協定の締結に向け、金沢大学国際機構留学生センターの松田真希子准教授(40、広島)が17日に来伯、同大の人間社会学域とUSPの哲学文学人文科学科(FFLCH)の学部間協定を結ぶ交渉を進めた。
静岡や愛知などデカセギ集住地の学生が多く、公務員志向も強いという同大では「英語圏に次いで、ラテン語系圏への留学希望が多い」という。 松田さんは在日ブラジル人向けに日常生活で使う日本語や情報を紹介した『ブラジル人のためのニッポンの裏技—暮らしに役立つ日本語便利帳』(2008年、220頁、春風社)を執筆し、地域の外国人への日本語教育に関わるなどブラジルと縁があったことから、協定に向け中心となって動いた。
今回は協定書案と学生交換の覚書を持参し、USP日文研の森幸一教授とともにFFLCH、大学本部の国際交流課を訪れ、歓迎を受けた。FFLCHでは来月の会議にかけられ、5月末には協定が成立する可能性があるという。
松田さんによれば、金沢大と提携する海外の大学はアジアが中心。特にインドネシアやベトナムが多いが、「こちらが受け入れる方の交流がほとんど。送り出しもできるような提携を結びたい。USPは学生を派遣できるし、良い大学。(学生からの)需要もある」と意気込む。
ポルトガル語の授業はないものの、「スペイン語の授業を受けている学生の中で、希望者が出てくるのでは。ゆくゆくは幅広い分野で学生交換ができれば」と展望を語った。
USP側の検討を経て協定が締結されれば、早くて来年から学生の派遣が開始される予定だ。