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バルボーザ発言に非難の声=司法界が陰謀企てる?=判事や弁護士の反発招く=流出メールの真意はいかに

ニッケイ新聞 2013年3月22日

 ジョアキン・バルボーザ最高裁長官が19日、ブラジルの判事や弁護士の間では「陰謀の企て」があり、「更迭されるべき判事が大勢いる」と発言し、司法界から反発が出ていると20、21日付伯字紙が報じた。

 メンサロン事件公判中に最高裁長官に昇格、国家法務審議会(CNJ)議長も務めるバルボーザ氏が、CNJでの判事の進退問題審議後に行った発言が、判事や弁護士の間で物議を醸している。
 問題となった判事の進退問題は、弁護士達に便宜を図ったとされるピアウイ州の判事を更迭するか否かについて審議したもので、判事と弁護士の癒着はまれではないとの思いが「更迭されるべき判事が大勢いる」という発言を生んだようだ。
 バルボーザ長官は、メンサロン事件公判での歯に衣着せぬ物言いやリカルド・レワンドウスキー現副長官との口論、元官房長官らの大物政治家にも断固とした口調で臨む姿勢などで国民の注目を集めた。今回のバルボーザ発言は、高等裁判事代表としてCNJに参加していたエリアナ・カルモン元国家監察官が11年9月に行った、「法衣を着た悪人がいる」という発言を思い出させる。
 サンパウロ州新聞協会のインタビューに答えてカルモン監督官が「デゼンバルガドール(上級判事)が自身の犯罪から逃れるために、ジュイス(通常の判事)を自分のいいように利用することは珍しくはない」と語った時は、セザル・ペルーゾ最高裁長官(当時)が強く反発したが、今回は、最高裁長官自らが「判事と弁護士の間の陰謀」と語った事で、より広い範囲から非難の声が出ている。
 実際には、19日のCNJでは、上級判事のトウリーニョ・ネット控訴院判事がすぐに、「弁護士の友人がいてはいけないのか」「自分も弁護士達と酒を飲んだりした事があるが、それが裁判に影響した事はない」と反発していた。
 だが21日付エスタード紙には、ネット判事の娘のリリアン・ネット連邦地裁判事がCNJに出した配置転換願いに関して、ネット氏が弁護士会代表としてCNJに参加しているジョージ・エリオ氏に返事を催促した事と、エリオ氏が良い返事を持ってきたと知らせる3月6日付の秘書からのメールが誤転送で公にしられるところとなり、問題となった事が報じられた。リリアン判事は配属1年未満で配置転換を希望し、連邦地裁に却下されたため、CNJに直接希望を出していた。
 アイレス・ブリット元最高裁長官は、自分が長官だった頃は陰謀に相当する事件はなかったというが、CNJのメンバーが絡んでの配置転換への便宜の例などはカルモン発言の範囲外。司法界の最高審議機関であるCNJへの信用が揺らぎかねない状況は、カルモン発言時より更に深刻だ。
 一方、ブラジル司法官協会や連邦判事協会、ブラジル弁護士会は、バルボーザ発言は極度な一般化で、司法界全体の信用を揺るがせると一斉に非難の声を上げている。