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下院人権委員長=下院内からも辞任勧告=差別発言への反対止まず=抗議運動にまで皮肉発言

ニッケイ新聞 2013年3月23日

 同性愛差別や人種差別発言で問題となっている下院人権委員会のマルコ・フェリシアーノ委員長(キリスト教社会党・PSC)に対し、同氏への抗議活動の大きさを考慮した議会が委員長解任を求めている。21〜22日付伯字紙が報じている。
 「同性愛者は嫌悪や暴力を生む」「アフリカ人の先祖は呪われている」などの発言で知られるフェリシアーノ氏への抗議は、同委員会の委員長選出を任せられたPSCが5日に行った党内選挙のときから物議を醸していた。7日の委員会で委員長就任が決まった後も、全国での反対集会や、福音派牧師でもある同氏が牧会する教会まで追いかけての抗議運動、同氏の委員長就任に反対する議員らの抗議など、辞任を求める声が日々、高まっていた。
 さらに今週は、辞任への圧力がより大きなものとなっている。17日、過熱する抗議運動に対しフェリシアーノ氏が「気味の悪い儀式」と言い放つ姿が、同氏に近い筋の人物がネット上にあげた「フェリシアーノ牧師は辞任せよ」と題する動画で映し出された。この映像は問題視され、PSCの下院リーダーであるアンドレ・モウラ氏までもがフェリシアーノ氏の辞任を求めはじめた。
 また、20日の人権委員会の会議では、抗議団体の妨害行為によりフェリシアーノ氏が8分で退場。その後の会議も罵声が飛び交い、続行が不可能となった。
 エンリケ・アウヴェス下院議長はこれら一連の騒動に対し、「不安定な状態がずっと続いている」と評し、20日、PSCに対し、次の委員会の会議が行われる27日までに新委員長を選ぶように通達した。アウヴェス氏は21日に、「フェリシアーノ氏を取り巻く状況は、いかんともしがたい状態になっている」と語っている。
 だが、フェリシアーノ氏は辞任を断固として拒絶している。フェリシアーノ氏は「私は全国5千万人の福音派信者、私と同じような意見を持っている無数の人の代表だ」と語っているが、同氏に対しては福音派からも、「我々の意思なぞこれぽっちも代表していない」と辞任のための署名運動が起きている。
 また、フェリシアーノ氏は最高裁のリカルド・レヴァンドウスキー副長官から、北大河州で行われた礼拝に、1万3300レアルを受け取っていたにも関わらず参加しなかったことへの供述を求められている。
 ロベルト・グルジェル連邦検察庁長官は20日、フェリシアーノ氏の委員長指名は適切とは言えず、PSCは別の人物を選び直すべき、との見解を示している。

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