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教育省=法学部の新設を停止=既存の学部も改めて評価=弁護士試験合格者は1割

ニッケイ新聞 2013年3月26日

 アロイジオ・メルカダンテ教育相が22日、学部開設基準の見直しをする間、法学部の新設を停止すると発表し、既存の法学部も、再評価の上、閉鎖や募集停止を命じる可能性を示唆した。23日付伯字紙によると、開設基準見直しなどは、ブラジル弁護士会(OAB、マルクス・ヴィニシウス・フルタード会長)と共同で行われる。
 全国の法学部は約1200、在籍者も80万人に達しているが、ここ20年で6倍という乱立ぶりは、教育の質の低下や定員割れという懸念も生んでいた。
 この懸念は現実のものとなり、今年行われた第9回全国統一弁護士試験の合格者は、受験者11万4763人中1万1820人で、89・7%が不合格という惨憺たる結果に終わった。弁護士試験は09年から全国共通となったが、同試験の合格率は法学部増設と反比例して低下している。
 また、法学部の定員総数は22万人だが、実際の新入生の数は16万2千人。実に25%の定員割れが起きている。
 これらの実情を鑑みた教育省とOABが、共同対策を練らざるを得ない事を認識した証拠が22日の共同記者会見だ。教育相は「25%の定員割れが起きている現状では学部新設を急ぐ必要はない」として、現在100近い申請が出ている法学部の新設を当面停止すると発表。学部新設は今年半ばを目処とする開設基準の見直し後に再検討される。また、開設基準見直しと並行して、弁護士試験のあり方や内容も検討される。
 一方、既存の法学部については「たくさんの学部を閉鎖」と予告。今年行う人文科学系の学部評価などを基に、弁護士試験に合格する実力のない学生に大学卒業の資格だけを与えて送り出すような大学に厳しい裁定を下す方針を示唆した。
 既存の学部は、1年目と4年目の学生が受ける学力試験(Enade)の点数や教授陣、施設面などを加味して算出する学部予備評価(CPC)で評価され、5を最良とする5段階評定で3以下の学部は、改善計画提出と教育省の監査が義務付けられる。各学部の評価は4年毎に行われ、次回も3以下だった学部は、新規募集停止か閉鎖(廃部)の対象となる。募集停止となった学部は、次回の評価が改善すれば募集を再開できる。
 法学部では、07年の評価で閉鎖された学部が三つあり、2万人分の定員削減。11年は136の法学部で1万912人分の募集が停止された。
 また、弁護士試験の合格率が低い法学部や意図的に受験を避けた大学も懲罰の対象とするとの方針や、研修制度見直しも同時に発表された。