ニッケイ新聞 2013年3月26日
14日付読売新聞に、弘前大学の社会言語学研究室が「地震のことばを知ろう!〜『やさしい日本語』で学ぶ100のことば〜」という学習教材を作ったという記事が出た▼阪神大震災や新潟県中越地震後に作成された「『やさしい日本語』版災害基礎語彙100」では「とても高い波」と言い換えた津波も、東日本大震災後という事もあって「津波に襲われると建物や船が壊れるかもしれません。家が水の中に沈むこともあります」のように説明付きになった▼津波避難場所の標識や家具の転倒防止グッズ紹介に災害用語を使った作文練習など、「外国人にやさしい」「実生活に役立つ」を目指す教材が誕生し、改定されている事に感心した▼ここブラジルでは商工会議所が、10年前作った日ポ両語の「ブラジル略語集」の収容語数を増やして説明を加えるという改定を施した。PcW Brazilも、日本からの投資家がブラジルでぶつかるであろう疑問や問題へのガイドブックに3カ国語対照の会計用語集と、痒いところに手が届くような本を出しているが、こういう本の存在を知らず、本そのものに手が届かない人も多いだろう▼翻訳記者としての仕事に正確を期すには、日ポ両語の語彙と共に政治や経済の仕組みなどに関する知識も必要で、そんな時に役立つのがインターネットの検索機能や略語集、ガイドブックの類の資料に雑学だ。直接会って取材出来ない翻訳記事に血を通わせるには心情理解なども不可欠だし、記事を書こうとコンピューターに向かう時は、難しい事を難しい言葉で書くのではなく、誰もがわかる言葉で簡潔にという新たな難問にも直面する…。(み)