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HAVAIANASの〃母〃=平田アンジェラさんは今=(上)=価値観見せ、文化を尊ぶ

ニッケイ新聞 2013年3月27日

アヴァイアーナスのサンダルを手に、平田アンジェラさん

アヴァイアーナスのサンダルを手に、平田アンジェラさん

 2003年、アカデミー賞にノミネートされた俳優たちが、贈られた特別モデルを使ったことで脚光を浴びた。今や「HAVAIANAS」(アヴァイアーナス、ALPARGATAS社)はブラジルを代表するブランドと言っても過言ではないだろう。メディアを意識した戦略で「貧しい人が履くサンダル」を世界レベルに育て上げたのは、同社初の女性貿易本部長・平田アンジェラさん(68、二世)。あれから10年—。彼女は今、どんなビジネスでその手腕を発揮しているのか。


 サンパウロ市イタイン・ビビ区にある「SURIANA」社が新たな舞台だ。友人のロドリゴ・スコットさん(38)が2002年に立ち上げたが経営不振に陥ったため05年、社長として招かれた。
 伝統工芸、ピンガ、ミナス製の鍋、Kennerのサンダルなどブラジル産商品のPR戦略を担い、国外にブランド発信するほか、ブラジルへの進出企業のサポートを行う。楽天や無印良品など日本の大手企業も顧客に名を連ねる。根底にあるのは、「価値あるブラジルの商品を世界に伝えたい」との一貫した想いだ。
 「単に商品として安く売っても価格競争になるだけで中国などに対抗できない。高くても『いいものはいい』という価値観を見せる商売をする」のが、平田式商売術の要だ。
 目下、国内40%の市場シェアを持つワイナリー「Miolo」のワインと、10年前から日本の豆腐メーカーに細々と輸出をしてきた「Naturale」の大豆の普及に腐心する。Mioloのワインは日本でも高く評価され、伊勢丹など大手デパートをはじめ約300店に入荷、TVでも度々取り上げられた。
 扱う商品はアンジェラさんの眼鏡にかなった自慢の商品ばかり。しかし大部分は知名度が低く、常に高いリスクがつきまとう。
 「だから最初は、納期を守り、きちんとした価格設定をしていて、輸出先の国の文化を尊重できる会社を選ぶ。輸入税は交渉できても、文化だけは交渉できない」。一社の進出が、同業他社の将来的な進出の土台となると考えている。
 関係者全員に利益が生じる「持続可能なビジネス」を心がけ、相手国の文化・やり方にあわせて一緒に作り上げていく。そんな手法が〃世界のアヴァイアーナス〃を生んだ。(つづく、児島阿佐美記者)