ニッケイ新聞 2013年3月28日
キリスト教社会党(PSC)は26日、エンリケ・アウヴェス下院議長から辞任勧告を受けていた下院人権委員会のマルコ・フェリシアーノ委員長に関して、辞任させないとの意思を示した。その理由として同党は、労働者党(PT)政権への連立をあげた。27日付伯字紙が報じている。
委員長指名をまかされたPSCが5日にフェリシアーノ氏を正式に指名して以来、「同性愛差別や人種差別をする人が選出された」ことに対する強い反発が議会内や広く国民を巻き込んで起きている。抗議団体の妨害で13、20日の委員会が正常に機能しなかったのを見たエンリケ・アウヴェス下院議長は、21日に「27日までに新委員長を」という勧告をPSCに出していた。
だが、PSCはフェリシアーノ氏続投を選んだ。その理由をエヴェラルド・ペレイラ副党首は「2003年の末以来、PSCはPTと連立を組んでおり、思想の違いを超えて2期にわたるルーラ政権の忠実な連立与党の一員でありつづけた」と語った。同党は、ルーラ氏が1989年に大統領選に立候補した際にも連立を行っている。
ペレイラ氏はさらに、「10年の大統領選挙の際も、ジウマ氏の神に対する考え方や中絶容認という立場を知る前からPSCはPTを支持した。思想の違いを超えて受け入れてきたつもりだ」と語った。ジウマ大統領はこの問題に関して正式な声明を行っていない。
また、議会内の福音派からもフェリシアーノ氏擁護の声もあがっている。福音派議員のまとめ役であるジョアン・カンポス下議(民主社会党・PSDB)は、「フェリシアーノ氏は委員長就任時に謝罪したのにそのことは誰も取り上げない」「フェリシアーノ氏が辞任しなければならないなら、ジョアン・パウロ・クーニャ下議やジョゼ・ジェノイノ下議も司法立法委員会を辞任させなければならない」と、メンサロン事件で有罪となったPTの議員の名を出して対抗した。
また、牧師でもあるエウリコ下議(ブラジル社会党・PSB)も、「フェリシアーノ氏への辞任勧告は公的なリンチだ。なぜPTの掲げるような思想ばかりが受け入れられるのか」と語っている。
だが、PSC内でもアンドレ・モウラ下院リーダーのように、「委員長続投はフェリシアーノ氏の独断で党の意思ではない。一刻も早く辞任させるべき」との声もあがっている。
このPSCの声明を受け、アウヴェス議長は26日夜、議会で話し合いを持ち、4月2日にフェリシアーノ氏と話し合いの場を持つこととした。