ニッケイ新聞 2013年3月29日
ブラジル元大統領でその多才さでも知られるフェルナンド・エンリッケ・カルドーゾ氏(FHC)が27日、ブラジル文学アカデミー協会(ABL)の欠員選挙に立候補した。28日付伯字紙が報じている。
政治家になる前は社会学者として名を馳せていたカルドーゾ氏は、「ラテン・アメリカの社会的変化」(1969年)「ア・ソマ・エ・オ・レスト」(2011年)などの著作も出しており、12年には「社会学のノーベル賞」と呼ばれるクルーギ賞も受賞した。
ABLはブラジル文学界に貢献した永久会員40人で構成され、ブラジル文学界で最も権威のある団体だ。今回カルドーゾ氏が立候補したのは、ジャーナリストのジョアン・デ・スカンチンブルゴ氏の死で生じた会員番号36番の欠員選挙だ。
ABL会員が死去すると30日間の立候補受付期間が設けられ、その2カ月後の選挙で現存会員(現在38人)の過半数の得票を得た人が選ばれるが、カルドーゾ氏への立候補は、22日に持たれた昼食会の席上、スカンチンブルゴ氏の死を知らせる電話を受けたジョゼ・サルネイ氏らからの呼びかけで決まった。
カルドーゾ氏は受付初日の27日にリオに向かい、会員選挙への立候補の手続きを行った。「今までは〃自分は文学者じゃない〃とか〃元大統領だからといって気を使わなくていい〃と言ってこういうものは避けて来たが、ABLの中で私がメンバーになるべきだと言う人が何人もいるというので折れた」という。初日の立候補者は1人で既に30人の同意も得ているが、同氏は「私よりもっとふさわしい候補がいたら、喜んで譲るよ」とも語っている。
ABLでは4月11日に昨年12月に亡くなった会員番号10番だった詩人のレード・イヴォ氏の後任会員選挙があるが、そこでは3名の候補の名前があがっている。