ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 金利とエネルギーと食料品?=大統領再選への3本柱=粗を出さずに走りきるか=電力会社などに大幅損失

金利とエネルギーと食料品?=大統領再選への3本柱=粗を出さずに走りきるか=電力会社などに大幅損失

ニッケイ新聞 2013年4月2日

 BRICS首脳会議での「経済成長を妨げるようなインフレ対策は受入れらない」との発言後、14年大統領選のジウマ大統領の謳い文句は「金利」「エネルギー」「食料品」の3本柱との説が飛び出した。その一方、中央銀行が14年までのインフレは5%超との見通しを発表。2月の公共部門の基礎収支は30億レアルの赤字、エレトロブラスも70億レアルの赤字決算といった厳しい報道が続いている。  3月に発表された支持率調査で、1期目としては歴代大統領を上回る高支持率を獲得したジウマ大統領が、14年の大統領選挙では「金利」「エネルギー」「食料品」の3本柱を掲げて戦うとの報道は3月30日付エスタード紙だ。
 経済基本金利が過去最低の7・25%となり、民間銀行の貸付金利も下げさせた事を誇っている大統領にとり、経済成長を減速させかねない金利引上げは何とか避けたい、あるいは実施を遅らせたい項目の一つだ。
 この思いを集約しているのが、謳い文句にもあるエネルギーと食料品の値上がり回避策としての減税処置で、1月には電力料金値下げとガソリンの減税、3月には基礎食料品を含むセスタ・バジカの減税処置を発表。公共交通料金の値上げ回避のためのディーゼル油減税も近日中に発表される見込みだ。
 一方、3月28〜31日付伯字紙は、5%超のインフレは14年末まで確実に続き、抑制のための基本金利引上げは不可避という説や、インフレ抑制には政府支出の削減必至といった発言を連日掲載している。
 さらに、電力料金値下げのために経営権委譲の内容を変えた契約書へのサインを電力会社に強いたりした事で、エレトロブラスは第4四半期だけで100億レ、年間でも69億レの赤字決算とも報じられた。同社やValeなどの上場企業は、第4四半期に250億レを損失というから、中短期の経済浮上は容易ではなさそうだ。
 ジウマ大統領の高支持率を支えているのは、ボウサ・ファミリアに代表される生活扶助や、持ち家政策のミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ、電力料金値下げやセスタ・バジカの減税、最低賃金の引上げなどで、国内総生産(GDP)が2年間で1・8%の成長で終わったという発表は余り響いていない。
 車への減税は据え置きの見込みだが、減税策は繰り返しせず効果が限られる事、今年のジウマ政権は政府支出拡大を宣言している事、中央政府の2月の収支は税収の減少と支出増加で71億レの赤字転落など、先行きに陰を落としかねない報道は引きも切らない。
 14年選挙でのジウマ大統領の対抗馬とされる民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーヴェス上議は安定経済の基盤が揺るいでいると発言、ブラジル社会党(PSB)のエドゥアルド・カンポス・ペルナンブコ州知事も、ジウマ氏の大統領再選を妨げる主要要因は経済問題と見ている。