ニッケイ新聞 2013年4月3日
連邦検察庁が、メンサロン事件公判中に行われたマルコ・ヴァレーリオ被告の証言に基づき、6件の罪状についての調査を新たにはじめた。一方、同事件の裁判で有罪となった政治家らの投獄は2014年にずれ込む見込みとなった。2日付伯字紙が報じている。 ヴァレーリオ被告は12年9月24日、検察庁で爆弾発言を行った。証言では、労働者党(PT)政権誕生直後の2003年初頭、当時のルーラ大統領が官房長官だったジョゼ・ジルセウ被告が報告したメンサロン計画のための資金貸付を承認したことや、ルーラ氏がメンサロンの資金を私的利用した疑惑などが3時間余、語られた。 ロベルト・グルジェル検察庁長官は、ヴァレーリオ氏がメンサロン裁判を混乱させ、刑の軽減を図るために発言した可能性を恐れ、閉廷まで動きを起こさず、13年1月8日にルーラ氏に対する調査を行うことを決断した。ヴァレーリオ被告は同公判で40年を超す実刑判決を受けた。 ヴァレーリオ被告の証言内容は2月に、同被告の地元でメンサロン絡みの別の捜査も行っていたミナス・ジェライス州の検察庁支部に検証のために送付された。同支部検察官は3月13日、2月に送られた証言内容には目新しいものはなく、残りは「管轄外」としてブラジリアの検察庁に差し戻していた。 検察庁は約2週間かけて審議を行い、八つの罪に関連する疑問があることを確認した。うち2件は既に調査中のため、残る6件について調査を行うことを決め、それぞれの件を別々の検察官に割り当てた。 6件の罪状は明らかにされていないが、疑惑の中には、「ルーラ氏がポルトガル・テレコム社元社長のミゲル・ホルタ氏と会合し、同社がPTの口座に700万レアルを振り込むことで合意した」「ルーラ氏の右腕の岡本パウロ氏がヴァレーリオ被告を〃殺す〃と脅した」などがある。 一方、連邦最高裁によるメンサロン事件公判結果の公表は、期日の1日になっても有罪となった25人の被告に対する判事投票の再確認作業が終わらず、後日に持ち越された。期日後も確認作業が残っているのはセウソ・デ・メロ判事のみだが、結果の公表はすべての判事の投票確認後に行われる。これにより、ジョアキン・バルボーザ長官が目指していた有罪連邦議員らの7月までの服役開始は実質見送られ、14年にずれ込むことになりそうだ。 ブラジル汚職反対運動のメンバーは「嘘つきの日」とイエスを裏切った弟子をひっかけ、国会前でメンサロン事件も含む汚職議員の顔写真を貼り付けた12体の人形を焼き、政界の不正への怒りを示す抗議活動を行った。