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モジ=老朽化理由に鳥居を撤去=百周年記念公園に移転=文協、市が再建に協力=「頑丈に作り直す」

ニッケイ新聞 2013年4月3日

 モジ・ダス・クルーゼス市日本人移民百周年を記念し2008年4月、モジ・ヅットラ街道をまたぐ形で市の入り口に建立された巨大鳥居が、昨月老朽化を主な理由に同市都市サービス局(SEMSUR)により撤去された。反対の声もあったが、鳥居付近には高圧電線が通っており、修繕したとしても今後の維持は困難と見て撤去に至ったという。また、百周年公園内にある笠戸丸の複製モニュメント(長さ31メートル、木製)も暴風雨による損傷が激しく、修繕が必要となっている。百周年当時のモジ市長、安部順二連邦下議は「昨日(1日)市長と話し合い、どちらも頑丈に作りなおすと決めた。まだいつとは決まっていないが、鳥居は記念公園内に移す」と話した。
 鳥居は高さ8・4メートル、幅22メートル、重さは約4トンとブラジル最大級を誇る大きさだった。ポストカードになるなど、市の顔としてすっかり定着していたが、木材の腐食が進み、街道に木片が落下し始めていた。モジ市議で、同地文協の幸村秀樹ペドロ会長(58、二世)によれば、「鳥居は神道の象徴なので、出来た当初からプロテスタントの反対も受けていた」と言う。
 昨月17日、バンデイランテ・エネルジア社が同行し、都市サービス局がクレーン車を動員し、撤去作業を行った。はじめに笠木(柱頭に乗っている横材)や貫(笠木の下の横材)が取り外され、後日コンクリート製の柱が取り除かれた。百周年以来、市への来客を出迎えてきた鳥居は寂しくも姿を消した。
 しかし、わずか4年足らずでこれほど老朽化が進んだのは「ブラジルには木材建築の専門家がいない」(安部下議)ことも一因のようだ。日本人移民の象徴として末長く維持するためにも、文協内では「資金を集め、もっと頑丈な記念モニュメントに作り変えよう」との声が上がっている。
 幸村会長は「今月の秋祭りが終わったら、具体的な話し合いを進めていきたい」と話している。