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FIFA=マリンにCOL辞任勧告=軍政関与の署名運動の影響=後任にロナウドの声も

ニッケイ新聞 2013年4月10日

 国際サッカー連盟(FIFA)が、ブラジル・サッカー連盟(CBF)のジョゼ・マリア・マリン会長に、兼任する14年ワールドカップ現地組織委員会(COL,英語ではLOC)の委員長辞任を望んでいることがわかった。9日付フォーリャ紙が報じている。
 COLはFIFAがW杯開催国に設置する、同杯の運営面、財政面をとりしきる委員会で、CBFが共同運営者的な形で参加しているが、FIFAは2週間ほど前にブラジル政府に対し、マリン会長がCOLの委員長を務めることに対する懸念を伝えたという。
 この背景には、ネットなどを中心に起こっていた「マリン辞任勧告運動」がある。3月末の時点で5万5千人の署名を集めた署名運動は、軍政時代のサンパウロ市での犠牲者の一人として有名なジャーナリスト、ヴラジミール・エルゾーギ氏の遺子であるイヴォ・エルゾーギ氏が展開しているもので、かつての名選手であるロマーリオ下院議員らも参加している。
 調べによると、1975年10月7日、当時、軍政政党の国家革新同盟(ARENA)のサンパウロ州下院議員だったマリン氏は、エルゾーギ氏がディレクターを務めていたTVクウトゥーラ局の左翼グループが武装蜂起するのを怖れ、軍の対応を求めており、同月25日、エルゾーギ氏は獄中で拷問死している。マリン氏はその約1年後の10月9日、軍政時代に数々の拷問を行ったことで知られる社会政治警察(DOPS)署長のセルジオ・フレウリ氏を褒め称える演説を行っている。
 イヴォ氏は「マリン氏がブラジルW杯の中心人物でいることは、例えるなら2006年のドイツでのW杯の組織にナチスの一員がいるようなものだ」と語っている。
 ロマーリオ氏たちはマリン氏のCBF会長の辞任署名を行っていたが、先にFIFAが動きだした。ジウマ大統領やアルド・レベロ・スポーツ相も、12年3月のリカルド・テイシェイラ前会長辞任の際からマリン氏の存在を疑問視していたことから、FIFAのこの動きは好都合だった。
 FIFAはコンフェデレーションズ杯前までの委員長交代を強く求めているため後任選びが急務となるが、有力候補の一人に、COL運営審議会メンバーで元スター選手のロナウドの名前があがっている。また、同じく元選手で現在フランスのクラブ、パリ・サンジェルマン(PSG)のディレクターを務めるレオナルド氏の声もある。もし選手出身のCOL委員長が生まれれば、98年大会のプラティニ(フランス)、06年大会のベッケンバウアー(ドイツ)に続くものとなる。